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新型コロナウィルスと家族農業

2020年7月24日、家族農業の知のプラットフォームより

· インターナショナル

 新型コロナウィルスが国内および世界の両方で広がり続けているため、地域の食料システムにおいて、家族農家–農民、漁民、牧畜民、先住民族、伝統的なコミュニティ、山地農家、森林利用者、女性、若者–特に小規模農家は、パンデミックの影響に特にさらされています。家族農業は、家族が管理および運営する農業、林業、漁業、牧畜および養殖生産を行う手段であり、家族労働力に依存しています。この家族ベースの農業は、世界の6億8,800万の農場の90%を占める農業モデルです。食料安全保障と持続可能で健康的な食料システムの基盤となっています。既存の農家95%は規模が5ヘクタール未満であり、98%以上の農場が20ヘクタール未満であることを考えると、家族経営の農場はほとんど小規模レベルで運営されているといえます。これらの農場は、サハラ以南のアフリカ、東南アジア、南アジア、中国の食料システムに不可欠です。

家族農家支援で包括・長期的解決策が可能に

 20ヘクタール未満の農場では食料の75%以上を生産していますが、家族農家は貧困と脆弱性の影響を最も受け、経済的、財政的、社会的リスクに直面しています。 新型コロナウィルスの影響下では、一時的な移動制限のために市場へのアクセスを妨げられる可能性があり、生鮮品や動物(主に家族農家が生産・保管)が市場や食肉処理場へ出荷できなくなったりします。さらに、消費者の行動の変化や市場の閉鎖、学校やその他の調達機会に変化が起こりうるため、家族農家の市場へのアクセスが損なわれる可能性があります。貯蔵施設のない家族農家は、生産物を腐らせてしまい販売できない危険性があります。家族農家を対象とする直接介入は、農村経済に持続可能な利益をもたらすことができます。家族農家とその組織および協同組合は地域とコミュニティに根ざしています。生産活動では、家族農家は自分たちで資源を生産(または再生産)し、地元で入手可能な投入材に依存しています。彼らを支援することで、危機的状況下でさえ、包括的かつ長期的な解決策が可能になります。社会的なバランスを保った形態の食品の生産、加工、および流通を促進するための措置は、食料システム全体でのパンデミックの直接的な影響を緩和し、農村地域と中小自治体の経済的、文化的および生態学的な多様性を改善することができます。

 農家の生産物やサービスへの需要を維持するために、公共調達および食料配給プログラム(公共機関、食料援助、学校給食プログラムの再編成など)の総合的な発展を促進し、それにより彼らの能力を支援することで新型コロナウィルスの影響に対処します。適切な社会保護プログラムの開発を促進するか、現金送金、食料送付、商品引換券、その他の現物支給、育児サービス、失業給付、無料の医療サービス、社会保険や保障金などの既存のプログラムへの助成の効果を高めるための所得保障も重要です。なぜなら、持続可能で回復力のある暮らしを促進することにより、家族農家とそのコミュニティの脆弱性に対応できるからです。また、地域への適切な助言、ビジネス、市場支援サービスを促進し、強化します。これらは、家族農家に合わせて調整され、簡単に利用できます(普及、トレーニング、および市場情報)。特に女性と若者のために、これらのサービスへの包括的で差別のないアクセスを確保しましょう。影響を受ける家族農家を支援するための緊急財政対策を促進しましょう。売上、現金流通、運転資金を支援する短期的な刺激策を提供し、現金流通量を維持または増加させ、税額控除、減税、納付延期、および還付を提供します。返済の繰り延べや借金の帳消しを通じて家族農家の既存ローン返済の負担を軽減し、短期的、中期的および長期的に家族農家の資金へのアクセスを促進します。 直接的な公的融資策を作り、金融機関が小規模農家に融資し、助成金を提供し、融資や税制上の優遇措置を提供するための目標を設定します。家族農家の市場環境を維持し、食料の流通と食品価格の変化を監視して、透明性、家族農家への適切な報酬、消費者の手頃な価格を保証し、促進します。バリューチェーンの機能に関連する革新的なパートナーシップ(民間部門との関係等)を含めて、女性、若者、その組織等の家族農家に力を与える政策を策定し、調整します。

国内と地方市場を強化

 都市と農村の関係においても、家族農家向けの国内市場と地方市場の機能を強化し、新型コロナウィルス危機の期間においてもすべての人々に栄養価の高い多様な食品を提供します。生産者と消費者を直接結びつけ、信頼できる市場へのアクセスを最大化するために、生産者と消費者を直接結び付け、特定の電子商取引に新しい技術を適用し、家族農家の組織と協同組合による新しくできた原材料調達から生産・販売に至るまでの物流や新たな食料流通を支援します。

 また、家族農家に対して新型コロナウィルスの蔓延を防ぐ方法、特に通常の石鹸で手を洗うことの重要性と、感染に対する保護バリアとして物理的な距離を離すことについて、地元の言語と先住民の言語でアドバイスと指示をする必要があります。家族農家には、新型コロナウィルスの症例または疑いのある症例を報告するために従う必要がある国内ガイドラインを周知し、感染を最小限に抑えるための対策を講じられるように、感染者の全関係者に連絡する必要があることを周知する必要があります。反対に、介入はすべての異なる形態の家族農家の製品の商業化に焦点を当てるべきです。これらの形態には、さまざまなバリューチェーン、ローカル市場、公共調達が含まれる可能性があります。世界保健機関(WHO)の勧告に従い、家族農家、および一時的、季節的、または長期の雇用労働者がコロナに感染しないように保護するために、個人の衛生状態および身体的距離に関連するガイドラインと指示を、特に現地の言語で確実に普及させます。家族農家と農場労働者に防護手段を提供します。閉鎖された市場と開かれた市場で適切な条件と物流を保障するための規制を促進します(売り手のローテーションや売り場の距離など)。

危機の影響を緩和し、SDGsに貢献

 パンデミックによる食料システム全体への影響を緩和するには、世界・国レベルの介入を異なる規模で同時に行う必要があります。グローバルな食料流通を保護し、再調整するための対策は、ローカルで利用可能な解決方法で補完する必要があります。家族農家は、状況に応じた包括的な解決策を提供するのに適しています。政府は、彼らと協力して複数の課題に取り組み、持続可能な開発の経済的、社会的、環境的側面を含む目標に到達することができます。現在の緊急事態に対処する即時の介入を超えて、国々はこの機会を利用して恒久的な解決策を追求し、より柔軟で持続可能な食料システムへの変革を促進することができます。国連「家族農業の10年」は、状況に応じて国内行動計画に適応する包括的枠組みを提供し、家族農家を支援するために共同の首尾一貫した行動を加速します。家族農家は、新たな戦略を発展させ、新たな社会的、環境的、経済的危機の状況下で革新的な対応をする能力を有していることを証明しています。彼らと一緒に行動することは、現在の危機の影響を同時に緩和し、持続可能な開発の2030アジェンダに貢献するでしょう。

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