家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)は2022年6月5日、オンラインによる学習会および総会を開催しました。
開会にあたり村上代表は「農林漁業は人間にとって一番基本的なものである一方、ある意味では自然を壊している部分でもある。人々が生活できて自然が守られていく必要があることは国連の言葉を待つまでもないが、日々の生活の中ではつい目の前のことに意識が集中してしまいがちになる。大事なことは、どこの現場にいても、そのありようがどの方向へ向かっているのかを考えることだ。総会にあたってもう一度原点に返り、自分たちのこと、将来の人たちのこと、地球のことを考えて建設的な方向でやっていきたい」と挨拶。
次に関根常務理事(愛知学院大学教授)が「コロナ危機、ウクライナ危機の下での家族農業の役割」と題して講演(関根さんの講演の資料はこちら)。「以前から世界の食料システムが崩壊していることは指摘されていたが、それが新型コロナ・パンデミック、ウクライナ危機によって顕著になったと言える。すなわち新型コロナによって、サプライチェーンの混乱、需要の喪失・低下、労働力不足をきたし、さらにウクライナ危機によって、食料・肥料・化石燃料の価格が高騰し、今年から来年にかけて世界的な食料危機が到来すると国連は警鐘を鳴らしている。危機打開の方向性として、輸入に頼った工業的な食料システムとそれに依存した社会システムから脱却し、地域資源を活用していくことが求められる。また化石燃料に依存した農業の体質を見直すことも重要だ。その中で、家族農業のしなやかな強さ(リスク分散・自律性・資源エネルギー効率性・小回りが利く)が高く評価され、世界では地元で作った有機農産物を公共調達するなど、公的支援を拡充する動きが始まっている。こうした時流を追い風にして、家族農業が持続可能な農と食をリードしていくことが期待される」と話し、また参加していた林業や漁業の関係者からは各分野の実情について情報提供が行われました。
続いて行われた総会では団体、個人会員と委任状を合わせ、過半数の出席があり、常務理事会から提案された議案はすべて承認されました。そのうち新年度の活動計画では、関根常務理事が2028年までのスケジュールを示し、シンポジウムや講演会・学習会を通じた国連「家族農業の10年」の啓発活動のほか、具体的な出版計画や広報活動などを提案。討論の中で、家族農林漁業プラットフォームふくしま浜通りの三浦幹事より、オーガニック農業を通じた地域交流や新たな集落づくりの取り組み、家族農林漁業プラットフォーム和歌山の中村代表幹事より、有機農業・オーガニック給食の推進など、国が掲げるみどり戦略の中の文言をプラスに活用する取り組みが紹介されました。
最後に、目標に向かって一層活動を活発化させていくことを確認し閉会となりました。
(川島 卓 記)