7月27日にオンラインで開催された「SDGs実施指針に関するパートナーシップ会議2022」(第1回)に参加したFFPJ常務理事の池上甲一さん(近畿大学名誉教授)から参加報告が寄せられました。以下報告をご覧ください。
2022年7月27日(水)にオンラインで開催された「SDGs実施指針に関するパートナーシップ会議2022」(第1回)に参加したので報告する。主催はSDGs推進円卓会議民間構成員。パートナーシップ会議(PS会議)の目的は、2023年に行われる「SDGs実施指針」の改訂に向けて提出する円卓会議の「提言」にできるだけ多数の人と幅広い分野からの声を集めて反映することにある。
PS会議は、第1全体会合(9:30~11:00)、5つの分科会(11:15~12:45、13:30~14:15)、第2全体会合(14:30~15:30)のプログラムに沿って行われた。第1全体会合では、SDGs実施指針についての説明(外務省)と民間構成員5名によるパネル・ディスカッションが行われた。パネル・ディスカッションの中で印象的だった指摘は次の3点。①SDGs推進本部と円卓会議との間にリンクがない、②SDGsの進捗管理を行う上で必ずしも明確になっていない目標の追加が必要である、③統計が「劣化」していて数値目標ができないものがあり、統計整備を含めて数値化の努力が必要である。
分科会はpeople, prosperity, planet, peace, partnershipの「5つのP」に対応して構成され、それぞれのブレイクアウト・ルームで議論が行われた。池上は第3分科会のplanetに参加した。この間に、中座せざるを得なかったので分科会全体の詳しい状況は報告できないが、生物多様性にかかわる議論の中で「脱カーボン」の強化が生物多様性を悪化させる危険性のあること、農林地の管理放棄が進むと生物多様性は減少するという冒頭の報告が興味深かった。分科会としては、planetにかかわるSDGsの達成のためにどのような目標を追加すべきなのかが議論の中心だった。池上はバックキャスティングの手法を採用する際に中期・長期の時点別に目指すべき社会像を定め、そこから短期的な目標を設定する視点が重要であることと、個々のSDGは相互に関連し合っており全体的なシナジー効果を意識することの重要性を指摘した。
PS会議は、これまでの日本のSDGs実践の経緯を踏まえ、日本流にアレンジした新しい目標を追加するための議論をする場だということになる。そのために、10月に開催予定の第2回PS会議の間に、それぞれの団体が可能な範囲で「SDGsと〇〇」といった討議の場を設け、追加すべき目標やSDGs実施指針の改訂に盛り込むべき事項についての提案をまとめてほしい旨の提案・依頼があった。