家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)は5月28日に、第6回総会を開催しました。総会に先立って、「家族農林漁業が大切にされる永続可能な社会に向けて」と題するパネルディスカッションを開催しました。パネリストは次の5名です。
・古賀瑞さん(青年環境NGO Climate Youth Japan代表、東京農工大学農学部3年)
・青木美紗さん(奈良女子大学准教授、地域循環、地域づくり)
・杵塚歩さん(静岡県藤枝市の有機栽培お茶農家、国際活動の経験も豊富)
・斎藤博嗣さん(FFPJ常務理事、自然農法実践者、「すべての人に農を!」推進)
・池上甲一さん(行動計画の起案者、FFPJ常務理事、近畿大学名誉教授)
3月17日にFFPJが発表した国連「家族農業の10年」国内行動計画(案)を道標にしながら、家族農林漁業が大切にされる永続可能な日本の未来社会に向けた考えや取り組みを交流しあったパネルディスカッションの概要はこちらです。(文末に動画をアップロードしました)
◆パネリストの自己紹介
*岡崎衆史(司会)
今回、前半の企画はパネルディスカッションということで、パネリストには多彩な5人の方々をお招きしております。最初にそれぞれ自己紹介をお願いします。*杵塚歩さん
皆さん、こんにちは。初めまして。杵塚歩と申します。初めましての方もいれば、お久しぶりですの方もいらっしゃると思いますが、静岡県で農業をやっております。元々は静岡県の藤枝市で育って、大学の頃にはカルフォルニア州にある大学に行って、農業ではなくて社会学と心理学を勉強して、帰国して2003年から就農していますので、ちょうど20年になります。ただ独立したのが2019年でその前までは農業法人の方で仕事をしていました。この間、農民連にも関わらせていただいて、青年部の部長をやらせていただいたりだとか、ビア・カンペシーナの活動(東南・東アジア地域が中心)や青年運動なんかにも参加させていただいたことが、本当に大きな学びになって今があると思って感謝しております。
ちいとらっつ農舎という屋号、ちいとらっつという言葉が皆さんは聞きなれない言葉だと思うんですけれども、静岡県のこの辺の地域で、ちいとらっつというのが少しずつという意味で、おいおいこれがどういう意味なのか、何をここで表現したかったのかというのが、私の話の中で少しご理解いただければなと思うんですけれども、意味としては少しずつという意味ですね。それを大事にしている農業です。
簡単にざっとどんなことをやっているか、作物で言いますと、農薬・化学肥料はまったく使わないで色々作っています。ちいとらっつと言ったように、本当に色々なものを少しずつ、少量多品目で作っていて、生産だけではなく加工もしっかりやっていて、全量を自分たちで販売しています。上にちいとらっつ農舎とポラーノ農園と書いているんですけれど、私がちいとらっつ農舎という屋号でやっていまして、パートナーがポラーノ農園ということでやっていて、それぞれ作物は厳密に言うと分かれてはいるんですけれども、協力しながらこういったものを作って、生産から加工までやっています。
*斎藤博嗣さん
茨城県阿見町に住んでいる斎藤博嗣です。自己紹介をさせていただきます。私たち家族は「じねん道(Jinendo)」の屋号で夫婦と子ども2人の家族4人で、小さな家族農業、一反百姓をしています。2005年に東京から茨城の農村へ夫婦で移住し、新規就農をして18年経ちます。じねん道は小さな田畑・山林に手足を使って種を播き、失われつつある地球環境を回復し、次の世代へ引き継ぐアグロエコロジー、地球で生きるための農、地球を生かす農を実践しています。
新自由主義から「新“自給”主義」へ、一反百姓は地方創生と人生100年時代における本当(本物)の働き方、暮らし方だと思って取り組んでいます。
百姓は1日24時間を自分たちでマネジメントする仕事と暮らしだと考えて、何よりも子どもたちとの時間を大切にしながら自学自習しています。この写真は子どもたちと柿渋を塗っている様子です。井戸で水を汲んだり、五感を研ぎ澄ませる野良仕事であったり、この等身大の暮らしの中から自分の大きさ=自分が出来ることの大きさを自分の体で知るということが、環境問題であったり、何よりも自分の人生を切り拓いていく。他者との比較ではない「自然(じねん:Jinen)の力」を身につけるライフスタイルは、周りの自然環境と調和して、人間だけではなく、人間以外の生き物と共に生きていく重要な学びだと思って、学習の視点=教育・共育・響育として取り組んでいます。
2011年3月11日に東日本大震災があって、福島第一原子力発電所の事故により、茨城県は福島からは距離がありますが、私たちの暮らす阿見町周辺にも放射線が降り注ぎました。私たちは永続可能な百姓暮らしこそがあらゆる地球規模の難問を解決するカギだと考え実践をしていますが、それだけでいいのかということを、夫婦で話し合い、外に向けた色々な活動も取り組むようになりました。
例えば、じねん道が福岡正信・自然農法で栽培し、家族みんなで自家採種した種子「じねん道のタネ」の販売を通して、「地球市民皆農」一人ひとりが種を播きましょうという「すべての人に農を!」運動をしています。地球&自給と共にある、生きる自給率『1人1年1%UP』の暮らしを目指しましょうということをコンセプトにしています。タネをこういった形(写真)で60種類くらい、イベントでの出店の対面販売やじねん道のネットショップで売ったり、本屋さんで、色々な環境や農などの本と一緒に販売していただいています。※農文協さんの農業書センター(東京・神保町)、MARUZEN&ジュンク堂書店(池袋本店・渋谷店・大阪梅田店)、直売所の大きなかぶ(東京・板橋店、茨城・阿見店)など。福島の原発事故以来10年以上「民“種”主義」民の種(タネ)の主義という形で推進しています。
2014年には国連・国際家族農業年(IYFF2014:International Year of Family Farming2014)のシンポジウムで、パネリストとして大学等でお話させていただく機会がありました。上智大学でのセミナーの時に出会った有志と2017年に小規模・家族農業ネットワーク・ジャパン(SFFNJ:Small and Family Farming Network Japan)という団体を、一緒に立ち上げました。2019年にはSFFNJの農民代表として、スペインのバスク地方にあるビルバオで、第6回家族農業会議(the VI Global Conference on Family Farming held in Derio, Bilbao)「家族農業の生活を改善するための10年」にも参加させていただきました。家族で参加したのですが、会議場のエントランスホールで、趣旨(種子の意味)を書いた文章と私たち家族で育てた種子を、世界各国から集まった参加者の皆さんに「We are Small Family Farmers from Japan. These are our Home-Grown Seeds. Please sow seeds in your country! "Agrarian Movement for and by All Global Citizens" leading to "Green Life Chain" Let's connect the world!!(私たちは日本の小さな家族農家です。これらは私たちの自家採種したタネです。ぜひ、皆さんの国でタネを蒔いて下さい!地球市民皆農による、緑の生命連鎖で、世界をつなぎましょう!!」と伝えながらプレゼントしました。そのカンファレンスは、世界の小さな農民「小農(peasant)」の方たちと色々な現場の話をして、たいへん有意義な集まりで、日本の家族農業とは違い?、すごくアクティブ&ナチュラル&ラジカルな人たちと出会えて、本当にこれからのFamily Farmingの未来のビジョンを共有することができました。
SDGsの実現においても、国連・家族農業の10年(UNDFF:UN Decade of Family Farming)が未来を先取りするような運動だと考え、家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)の常務理事としても参加していますが、皆さんとも一緒に活動をしていきたいと思っています。今日はよろしくお願いいたします。
*古賀瑞さん
ほぼほぼ初めましての方々が多いと思うんですが、以前、池上先生のご著書の中で執筆に参加させていただいたご縁もあって、本日、参加させていただきます。大学の今、3年。2001年生まれで、今年22歳になります。よろしくお願いいたします。
簡単に自己紹介ということなんですが、東京農工大学農学部の3年生で、主に森林科学を勉強しています。2023年の8月からインドネシアに留学予定です。東南アジアの自然生態系をちょっと自分で足で歩いて見て回ろうかなあと思っています。僕は2021年の4月から気候変動関連のユース活動に参加していて、Climate Youth Japanという組織の代表を今年、2年目になりますが、やっています。ほかにも生物多様性のユース、グローバルユースの組織の一員でもあります。
活動は主に、気候変動とか生物多様性の国際的な議論をフォローすることを主にやっています、大学の外では。最近は大学での専攻がちょっと生物多様性寄りみたいなのもあるので、自然と気候との間でどんなことが行われているのかみたいなことを中心にフォローをしています。大学でのお勉強なんですが、森林科学に関する勉強を広くやっています。つい先日まで大学の演習林、日光からちょっと電車で降りたところにあるんですが、大谷山、草木という演習林があるんです。そこで育林学とか砂防工学とか樹木学とかの実習に参加していました。下の方は地拵えしたをした後のところにスギですね、スギの植林をしていました。これも育林学の授業で1人ノルマで1本か2本、自分で伐採を、間伐をする授業をやっています。
今日は大学の先生方もいるので、ちょっと真似して、研究したいことみたいなことをまとめてみたんですが、結論から言うと、まだあまり決まっていない。迷いに迷っているという感じですが、将来的には生物多様性分野の国際的なルールメイキングに関わりたいなあと思っている一方で、やっぱり大学で動物とか植物とか、あるいは生態系の仕組みについて勉強している先生方とか先輩方を見ていると、ちょっとそういう分野にもあこがれがあって、どうしようかなあと日々考えております。今日はこのような貴重な機会にお招きいただき、ありがとうございます。ぜひ頑張って議論に参加させていただければと思います。よろしくお願いします。
*青木美紗さん
皆さん、こんにちは。奈良女子大学の青木です。初めましての方もいらっしゃいますし、日頃から本当にお世話になっている方もいらっしゃいまして、今日はこのような機会をいただき、誠にありがとうございます。私自身の自己紹介の方を少しさせていただきたいと思います。
出身は大阪府八尾市で、そこまで農業が盛んなところではございませんでした。大学では環境問題や発展途上国の開発とかに興味があって、農学部の食料環境経済学科を専攻しました。大学院では地球環境学を学び、在学中にはJICAのインターンでネパールに行きまして、そこで見た本当に自然循環型の生活に、こういう社会が真の意味で持続可能な社会なのではと感じまして、日本に帰ってきました。そのあと、いったん大阪府庁で公務員として就職して、公務員の仕事もさせていただきました。次の世代の人たちに色々なことを伝えていきたいなということから博士課程に入学し直して、奈良女子大学の方で教鞭を取らせていただいています。
今の問題関心としましては、環境問題・貧困問題から食料問題・地域疲弊・経済格差というところに移行はしているんですけれども、根幹は同じで、日本には持続可能な社会を形成する上で、たくさんいいものがあるのに、何でそういったものが評価されないのかを突き詰めていくと、「経済」というものの考え方に疑問を抱きながら研究を進めているという状態になっています。
研究の専門は食料農業経済学と協同組合やNPOといった社会的連帯経済論になります。環境に配慮して生産された農産物の流通や消費に関する研究、農産物の地産地消二関する研究、協同組合につきましては、農業協同組合における女性部の活動や、生協と農協の産直運動、アジアに関する研究では、ネパールにおけるオーガニックと農村振興、ベトナムの観光と地域資源のあり方というようなことに取り組んで参りました。主に現地調査、フィールドワークを重視した研究をしております。
昨今の日本における農業の状況である、耕作放棄地の増加、農業者の激減を目の当たりにしてきて、研究者として客観的に研究・評価しているだけでは間に合わないかなと思うようになり、2年前から奈良県宇陀市というオーガニックビレッジ宣言をしたところなんですけれども、耕作放棄地を学生たちと開墾して、米作りも始めました。学生たちと一緒に実践しながら次の世代に何とか米作りだけでも伝えられないかなということを考えています。同時に味噌作り体験とか古民家の改修とかも学習をさせてもらっているということをしております。今日はよろしくお願いします。
*池上甲一さん
池上でございます。FFPJの常務理事をしております。またおまえかと思われるかもしれませんが、今日もお付き合いいただきたいと思います。
自己紹介ということで、ごくごく簡単に申し上げたいと思います。1952年に生まれまして、このときにはまだ平和条約が発効されておらず、GHQが撤退をする前ということで、ぎりぎり戦後すぐの世代ということになります。そのあとは半世紀以上の間に色々なこと、急激な変化を経験してきました。その中で、今日は家族農業の形ということを考えるために、子どもの頃の農業の形と、それから誰が働いていたかという2点について、ちょっとだけ紹介します。
基本的な形態は、小規模な有畜複合経営です。水稲、お蚕さま、蔬菜、牛ですね、牛は役牛から乳牛に変わりました。ニワトリはその辺に放し飼いです。稲わらの加工もやってきました。こういう色んなことをやっていく中で、私のところはたまたまですけれども、私の母親のお姉さん、2人の叔母がですね、それぞれ知的障害者でして、ずっと一緒に住んでいました。その叔母2人も重要な働き手だったことを強調しておきたいと思います。里山も生きていました。しっかり使っていましたし、水田にコイを入れるということもやりました。そういう意味では農と畜と林と漁を組み合わせる複合経営でした。今で言う小農性の原点だったといえるでしょう。
あとでご紹介があります青木さんのスライドのように綺麗な絵を描ければいいんですが、なにぶん絵心がないので非常に武骨なものですが、イラストを描いてみました。左の方に田んぼ、それから畑ですね。緑のところが桑畑。その前に山とかあって、どんな形でどういうものを作って、何を売っていたか。それから何が自給になっていたか、そういうところを少し描いてみました。牛のエサは、基本的に田んぼの周り、畑の周りの生草を刈ってきて与える、冬にはそれを干し草にして与える。もちろん濃厚飼料もありましたが、それはごく僅かでした。その堆厩肥は田んぼや畑に返していって循環させるというのが基本ですね。あとここの畑の中に、真ん中より上ですが、そこに加工用トマトというのがあります。それはたまたまこの伊那市にカゴメの工場があって、契約栽培が始まったということですね。こういう経験もしたことはあとの研究生活にとっても役に立ったかなというふうに思っております。
こういう色々なことをやっているので、父親と母親だけではとても手が足りません。ですから、子どもも非常に重要な働き手ですね。牛の餌を与えたり、それからサイロを詰めるときの仕事とかですね、子牛が生まれると、それに脱脂粉乳を使って乳をあげるとか、というようなこともやってきました。思い起こしてみると、一番嫌な仕事だったのは、麦の脱穀ですね。麦のノギが刺さって非常に痛い。稲よりもずっと痛いんですね。だから麦の脱穀は嫌でした。それから真夏のサイロ詰めです。合羽を着て、サイロに入って切断したエサ用の青刈りトウモロコシを踏み込むのですが、最初はサイロの下の方に居ますので、上から切ったトウモロコシが滝のように落ちてきて、非常に痛いやら暑いやらで、これも結構、嫌な仕事でした。風呂釜の火の番なんていうのは、結構楽しい仕事でした。とにかく、こういう色々なことをやってきた。子どもも非常に重要な働き手でした。知的障害者とか年寄りもちゃんと役割と居場所があったということをここでは強調しておきたいと思います。
最後にごく簡単ですけれども、本の広報をさせてください。FFPJの出版プロジェクトで、何年か掛けてやって参りましたものが農文協さんから、「シリーズ農と食料と環境を考える」3巻本として完成しました。最後にもう少し詳しいお話をしたいと思います。一応、私の自己紹介はここまでとさせていただきます。ありがとうございました。本日はよろしくお願いします。
*岡崎
続けてですが、ディスカッションに入る前に、本日の討論の前提になる「家族農業の10年の国内行動計画」についての説明を池上先生からお願いします。
*池上さん
それでは「国連家族農業の10年」の国内行動計画について、ごく簡単なご紹介をしたいと思います。詳細につきましては、FFPJのホームページにも載っておりますので、またそちらを参照していただければと思います。
最初に、今回が初めてという方、あるいはあまり馴染みの無い方もおられるかと思いますので、簡単に復習をしておきたいと思います。国連「家族農業の10年」、UNDFFというふうにさせていただきますけれども、それは現代の産業的な食農システムには限界があって、限界どころかむしろ色んな問題を引き起こしている、そういう状況を打開するカギは家族農業の永続的な営みにあるという認識から、小規模な家族農業を世界的に強化するということがミッションになっています。家族農業の強化とか、家族農業の10年というような言い方をすると、それは日本のこととはあまり関係ないという言い方をされる方がおられます。けれども、決してそんなことはなくて、途上国だけではなくて、いわゆる経済先進国も含めて家族農業がたくさん居ますし、その強化が課題になっているということであります。
2019年に世界行動計画というものが出来ました。それはここに書いてありますような7つの柱(政策、若者、女性、協同、農村の組織化、気候変動に強い農業、農業・農村の多面的機能)から成っています。この世界行動計画を具体化、あるいは家族農業の強化を推進していくためには、それぞれの国の国内行動計画が非常に重要になります。国内行動計画は、それぞれの国の政府と各国の家族農業支援組織、NCFFと言いますが、このNCFFと連携して作るということになっています。日本のNCFFはFFPJでございます。
2023年3月現在で、国内行動計画が完成し、承認済のいるところが12か国、作成中というのがちょっと見にくいですけれども黄土色というか、黄色っぽいところですね、これがコスタリカなど13か国。関係者が準備をしているというのが水色のところで、日本など28か国あります。2024年までに100か国にしようというのがUNDFFの目標でございます。経済先進国では、スペインとポルトガルが作成中ということで、そのあとを日本が追いかけているという状況になります。
私たちが作った国内行動計画案の目的は、日本社会があらゆる意味でのサスティナブルな食料保障を実現することにあります。そのためにはもちろん、色々な条件があります。特に大事なことは、食料主権の下で、農業と食料生産が継続できるということ。これが経済的にも社会的にも、あるいは環境的にもそうだということでして、農村の発展とかですね、貧困の克服、公正な社会、労働を尊厳あるものにする、生物多様性のある環境を保全する。そこに向けて公正な移行をしていく。あるいは文化の多様性を維持する、というようなことが含まれているというふうに考えています。
世界行動計画では7つの柱ができましたが、私たちはこれにもう1つ、農法・技術・食品の安全性という柱を付けて、8つの柱にしています。その一番目が政策ですね。政策は社会経済的な活力と環境的な価値と防災・減災価値というものを再興、強化していくということが大きな目標として掲げてあります。そういうことを考えると、一番下に書いてありますような農・林・漁、あるいは農地・山林・漁場・海というもの、川とかを含めてですね、それから湖・海を一体的に捉える。相互連携させるということが非常に大事だろうというふうに考えています。
もう一つは、下から3つ目に書いておりますけれど、農民、作り手と消費者、食べ手とが一緒になって政策を作っていくプロセスというものが非常に大事だろう。政府とか地方自治体にお任せということではなくて、自分たちが作っていくというのが非常に大事だろうというふうに考えています。
次は2番目の柱の若者です。今日はこれと次のジェンダーのところを特に重点的に議論したいというふうに思っておりますが、2番目は世代間の継続可能性を確保するということです。農業・農村が続いていく、サスティナブルなものにするためには、若者を支援することが、若者がちゃんと活動できるということが一番の基盤になるだろうと考えています。そういう上で青年農業者の仲間作りでありますとか、農村の社会的な変革を進めていくというようなことが大事になって来るんじゃないかなと思います。それから子ども世代に対する働きかけということも非常に重要な役割を果たすでしょう。できれば農林漁業が、憧れの仕事になるように向けて努力をしていきたいと考えています。
次は3番目の柱でジェンダーの問題ですね。ここでは家族農業だからこそジェンダー平等が必須であるということを明記して、日本社会にとっての先導的なモデルを目指したいというふうに考えています。ジェンダーは2番目の柱の若者、次世代政策とも密接に関連しています。ジェンダー平等なくして若者が農業を継承することはないと言っても言い過ぎではない。で、あとは4番目の柱は農村の問題ですが、2・3・4の柱、つまり若者・女性、それから村の家族農業組織は相互に密接に関連していると思っております。この辺りを含めて今日、議論していただければいいなと考えています。
あとは項目を読むだけにさせていただきます。
5番目の柱は、家族農家、農村世帯のコミュニティの社会経済的な統合、回復力・福祉を強化するということです。次が気候変動に強い食料システムに向けて、家族農業のサスティナビリティを促進するということです。それから7番目が地域の発展と生物多様性、環境文化を保護する食料システムにも貢献するということですね。最後が技術・農法・食品安全性です。この技術・農法についても色々なご意見があろうかと思いますので、今日ご参加の方から色々な意見を出していただければありがたいと思います。
で、最後になりますが、この国内行動計画を最後に大きく5つの目標というふうにまとめております。その中の3つですね。家族農林漁業が維持発展するための条件。それから2番目に誰もが生き生き暮らせる農村漁村にする。3番目に1と2とが連関いたしますけれども、経済的・環境的・社会的なサスティナビリティを確保する。この3つの条件を実現していくためにはどういうことが必要なのか。どんなことが考えられるのか。ということを議論したい。
最後に、今日のパネルディスカッションを踏まえながら、この国内行動計画をさらに成長させていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。以上で問題提起の説明を終わりにいたします。
*岡崎
ありがとうございました。これらを踏まえて、これからディスカッションの方をしていきたいと思います。ディスカッションは3つのテーマになります。最初に家族農林漁業の魅力、2番目にそうは言っても色々な困難・課題があるので、困難・課題について。最後に解決に向けたアイデア・実践などについてお話していきたいと思います。3番目のテーマでは会場の皆さんからもたくさんの発言をいただきたいというふうに思います。それでは最初に家族農林漁業の魅力について、改めて考えることをしていきたいと思います。最初に家族農業の実践者である杵塚さん、斎藤さんからお話を聞いて、続けて古賀さんから若者から見た家族農業のイメージについてお聞きして、最後に青木先生と池上先生に家族農業が果たしている大切な役割であったりだとか、期待されていることなどについてお話いただきたいと思います。まず杵塚さんお願いします。
◆家族農林漁業の魅力について
*杵塚さん
はい、改めまして、ここからですね。自己紹介の延長みたいになるかもしれないんですけれども、今やっている農業の形にどうして至ったのかということを踏まえてお話したいと思います。就農自体はもう20年前くらいになるんですけれども、独立して今、4年になります。その間もずっと考え続けているということがあって、自分の根っこがどこにあるんだろうというところですね、人間というのは自由に行き来して動き回っているので、なかなか根っこを意識するってないかもしれないんですけれども、植物と同じで実は目に見えないけれど、自分たちの生きている場所に根っこというのが張っていると思っていて、それが分かるのがやっぱり食べたものが自分の体の中に入ってくるし、その地域の井戸水、うちの方は井戸水なんですけれども、水道もそうですよね、そこ流れている川から取ってきた水を濾過して水道に入ってきて飲んでいることもありますよね。
この間、農業を20年やっていて、やはり大きな一つの転機というのが、福島の第一原発事故でした。お茶をやっていたので、皆さんも少し思い出していただければ、思い出せると思うんですけれども、お茶も本当に大きな被害を受けて、2011年には生産したその年の新茶が事故のあとにあったので、その年の新茶は全量廃棄したというとても苦い経験があります。そのときに改めて自分たちが、それまでもずっと農薬・化学肥料を使わない有機農業をやって来たんですけれど、それだけでいいんだろうか、というのをずっと思っていて、さらにそこから原発事故ということで、作っているものも生産をしたものも全てが汚染されたということ。それについてずっと考えてきたこの10数年になります。
そういった中でやはり思い至ったところというのが、原発もそうですし、農薬・化学肥料も元をたどると、戦争がありますよね。核兵器の平和利用という言葉もありますけれども、本当にそういった暴力装置というもので平和利用というのがあるのかということを考えています。電力においてもそうですね。本当に原発で痛い思いをしたというか嫌な思いをしたというか、いまだに苦しんでいる人たちも避難先で暮らしているという方もいますし、私たちは今はそれでできる限り、原発に頼らない暮らしをしたいということで、家もオフグリットにして暮らしています。農業におけるそういった暴力装置からできるだけ利用しない農業のあり方というものを考えたときには、やはりそこには農薬・化学肥料を使わない。もちろん遺伝子組換えといったものも、ゲノム編集も最近は問題になっていますけれども、そういったものに頼らない農業のあり方ということで、先ほどお見せした色々な品目を作っているんですけれど、その中で今の形になりまして、有畜複合って皆さんもご存じかと思うんですけれど、私たちのところでも有畜複合でニワトリだとか、これからアイガモのヒナがもうじき田んぼの田植えの時期なので到着するんですけれど、アイガモも飼ったりだとか、あとは作物も一つの単一作物を大規模に生産するのではなくって、色々なちいとらっつ、先ほどお話したちいとらっつですね、少しずつ色々なものをちいとらっつ生産するということで、実はその農園の中、もしくは地域の中で、そういった資源が循環するという形を取ることによって、外部から遠い海の向こうから化学肥料の原料であったり、農薬を運んできて、散布するということをしなくても、実は豊かな農業生産が出来るということを実証したいということで今の形に至っています。
で、この絵が表すように本当に色々な作物を作っているんですけれども、それぞれが独立しているんではなくて、お互いに依存しあっている関係、例えば今、去年の秋に稲刈りが終わった稲わらは山の上のお茶畑に稲わらを敷いて、逆にお茶畑では草取りをするので、その草をニワトリに与えて、鶏糞をまた、ほかの田畑に戻すという、そういうことをすることによって、その外部からの資材に依存しなくても、農園の中、または地域の中で資源が循環しています。なのでお茶栽培に関しては、今はまったく、買ってきた有機肥料と言えども、原料の中身を見てみると、割と海外からの菜種粕であったりだとか、そんな色々な海外からの資材も含まれてはいるんですけれども、そういったものも使わないで、稲わらだとか大豆の殻であったりだとか、あとは鶏糞だとか、あとは地域の酒蔵から酒粕だとか醤油粕だとかもらって来て、そういったものを土に返すという農業を今現在、やっています。
やはり農業をやっていく中で、農業というのはやはり暮らしとは切り離せないなというのが改めて感じているところですね。地域に根差している農業というのが、私にとっての家族農業です。その地域に根差した農業だからこそ、繋がれるもの、守られるものというのがあると思います。対比として考えるのが、単一の作物を大規模に生産する。残念ながら今、多くの国の政府、日本も含めてですけれども、その国が進もうとしているのが、単一作物の大規模化、有機農業も含めてですけれども、そういったことを進めようとしているのの、またそれとは違った反対側にいると私は思っています。
そういった中で守られるものが幾つかありますね。その1つがやはり小さい規模であっても、やはりその地域にずっと受け継がれてきた手仕事であったり、技術が継承されていきます。この写真はつい最近亡くなってしまったんですけれども、80代まで現役で製茶をやられていた方ですね。そういったお茶の加工の技術もそうですし、お茶の茶摘みなんていうのも、私たちのところでは手摘みでやっていて、やはりそういったものを若い世代が継いでいくということが本当に意味のあることだと思っています。
あとは大地との繋がりですね。生物多様性という言葉がやはり今、色々なところで聞かれるようにはなっていますけれども、やはりそこの地域に一番根付いてやっている職業というか産業というのが農業ですよね。やはりそこの地域地域の、山ひとつ越えただけでもだいぶ、土質も違いますし、ちょっとした風の流れなのかな。環境が変わってくるように、そこの地域特有の生産のあり方というものも、そこでずっと農業をやってきた先輩なんか、そういった方から教わりながらやっています。なので、私たちのところで加工しているものなんかもそうなんですけれど、お味噌なんかの加工の仕方だったり、麹の仕込み方なんかも地域の先輩に教わったり、その原料であるお米だとか大豆だとかお茶の生産なんかにしても、全て先人の先輩たちから技術的にも教わっているものです。で、その地域特有の食文化もそうやっていく中で大切にしています。
交流会だとかワークショップなんかもやるんですけれども、必ずそのときには、自分たちで作ったもの、その地域の旬のものを食べていただくということを大事にしています。あとはやはり命への眼差しですね。ニワトリを飼っているので、つい先週末もニワトリ締めのワークショップをやったばかりなんですけれども、やはりなかなか池上先生のご幼少の頃の時代にはおそらく、鶏締めだとかそういったものというのはごく当たり前に色々な農家の庭先で行なわれていたことだと思うんですけれども、今の時代はほとんど生きたニワトリを見たことがない人が、子どもたちがほとんどで、ましてや体温を感じたり、それを実際に締めて自分で食べるという経験っていうのがほとんどなくなってしまっているので、そういった体験なんかも大切にしています。
あとは人と人のつながりですね。この資料を用意しているときに、家族農業、もしくは地域に根差した農業というものが、ベースとしているものがやはり地域である上で、そうでない農業というか、今、色々なものが分断されてしまっていますよね。本来であれば、その地域、コミュニティの中で教育もそうですし、環境のことを考えたりだとか、経済も回していたりだとか、その中に労働があって暮らしがあって文化の継承っていうものもあったんですけれども、それが全て分断されてしまって、子どもたちは学校に送り出されるだとか、先ほどの池上先生の話だと、やはり地域の中で子どもも労働、農業生産なんかはそういった労働を通して色々なことを学んでいったり、環境のことだったり、農業のことだけではなくて、色々なことを学んでいたというものが、分断されてしまうことで、本来であったらその地域の中で、農業を通して暮らしの中で学んでいくということが、私たちの手からどんどん奪われているというか、失っているというところを家族農業、もしくは地域に根差した農業というので、いかに自分たちの手に取り戻すのか、その地域の中に取り戻すのかというところが、今後の課題でもありますし、私たちが家族農業としてやって言えることかなあというように考えています。
こういったことをやっていく中で、やはり子どもたちがすごく生き生きしていて、これは今はざっと読むことはできないと思うんですけれども、本当に嬉しかったのが、こういった小学生が大勢来てくれた中で、アイガモを田んぼで放している。その田植えから稲刈りまでを見ていただくという中で、子どもが最後にはアイガモを自分の手で締めるんですけれども、そこで感じたことを作文にしてくれて、自分の言葉で感じたことを表現してくれたという、そういうことが家族農業の可能性でもあり、魅力かなあというように感じています。はい、以上です。ありがとうございます。
*斎藤さん
ちょっと自己紹介とかぶる部分もありますが、「家族農業ってやっぱりすごい」という文脈でお話させていただきます。ローマのFAO本部で「国連家族農業の10年」の開幕式が行われた際、国連は小農・家族農家はSDGsの実現において不可欠であり、地球上の全ての人々にとって、重要なパートナーだということを位置付けて、政策的支援は地球全体の課題とされました。日本では依然として農業は大切にされていませんが・・・。またFAOのグラツィアーノ・ダ・シルバ前事務局長は「家族農業以外に持続的可能な食料生産のパラダイムに近い存在はない」と発言しています。さらにFAOの前日本事務所長のチャールズ・ボリコ氏は、アフリカのコンゴ民主共和国で自分の両親と幼少の頃に共に農業をした体験から「比べようもなく大きな学びの機会、家族農業は1つの学校であった」と言っていました。ボリコさんに関しては何回かお会いしたことがあって、農民連青年部主催の講演会で私もお話をさせていただいた機会に、ボリコさんにFAOの日本事務所長のあとのキャリアはどのように考えているのか?と聞きました。「小農の大学を作るときにぜひ、校長先生をやってください」と申し上げたら、私に「副校長をあなたがやってください」とおっしゃっていただいて、今マダガスカルにいると思うんですけれども・・・。家族農業が本当にパラダイムに近い存在であるならば、そういったFAOのキャリアの人たちも巻き込んで、家族農業の10年やSDGsの実現の活動をやっていくべきだと私は個人的には考えています。
パワーポイントをご覧頂いていますが、自然は無教育にして最大の教育者であり、田のドジョウ、畑の草が先生でここが学校、青空教室。ボリコさんが言っているとおり、1つの学校だと思って、私たちも家族農業に取り組んでいます。むしろ何より一番、子育てであったり、老若男女の人たちが関われる農業、人が人として関われる農業というのが、家族農業の最大の魅力だと思って取り組んでいます。
子育てと農業、農的暮らしの両立は私たち夫婦にとっても「生きる力」を授けてくれます。家族の食卓、和食はユネスコの無形文化遺産に登録されていますけれども、こういった(写真)田畑山林で展開される家族農業の食卓こそ、私は毎日、世界農業遺産だと思って、農業に限らず食事も妻や子どもたちと一緒に味わっています。家族とそういう時間を持てる、夕方「6時から産業」(六次化産業のモジリ)って勝手に呼んでいるんですけれども、夕方6時から家族とご飯を食べれる産業こそ農業の素晴らしさだと思って・・・ちょっと夕方6時には食べれてないですけれども、6時半か7時に食べて、いつも食卓を囲んでいます。
SDGsは世界を変革する行動として、「我々は地球を救う機会を持つ最後の世代になるかもしれない」と呼びかけていますが、今の若い世代に限らず、私たちの老後も含めて、今、地球を救う=自分たちを救うという本当に最後の機会になるかもしれないという危機感を、やっぱり地球全体の人々で共有しないといけないと思います。農林漁業をしていると、地球温暖化や暴風・豪雨等で、森林の倒木や作物の栽培の生育状況などで、本当にに厳しいなというのをひしひしと田畑山林で感じています。そういう中で、農民だけの問題としてではなくて、地球全体のすべての人々に、地球市民として皆が農園だったり何らかの生産に携わるということを通して、もう一度パラダイムを見直しいくということが必要だと考えて、家族農業に取り組んでいます。インド独立の父マハトマ・ガンジーは、「mas product (大量生産)」から 「product by mas(大衆による生産)」へ、「世界を豊かにするのは、大量生産ではなくて大衆による生産である」と唱えましたが、それを実践するのが小規模・家族農業の可能性だと思っています。
ワーク(Work)の価値観や意味は、人は生きるために働くのであって、働くために生きているのではないはずなのに、これまでの日本社会は、会社や組織で働く人間だけを社会人と呼んできましたが、仕事さえしていれば全うな人であるという勘違いをこれは生んできたと思うんですね。地域コミュニティーや家庭といったほかの領域の価値が低いような、今までは社会構造でしたけれども、もっと多様な人たちが関わる、さっき池上先生もお話されていましたけれども、知的障害の方であったり、力の弱い人も強い人も等しくそれぞれの持つ、「生産する力」私はそれをカルティベイティブ・ラーニング(Cultivative Learning)と呼んでいるんですけれども・・・「耕す力=生きる力」というのを皆が秘めていると思うので、地球規模の危機的課題が山積みの今こそ、ガンジーが唱えた大衆による生産を取り戻す、パラダイムシフトが必要だと私は思っています。
ワーク(Work)と共にあるライフ(Life)というのは、自分とその周辺の人々や生物と環境と共にある「生命、生涯、生活」の意味で捉える必要があって、ただ働いていることが社会人ではなく、これからは地域に根差した生き方をする人も、家族農家もですけれども、見直される時代になるべきだと思います。私にとって家族農業というのは、換金作物を作るだけの農業だけではなく、野良仕事と食生活のライフスタイルを整え、子どもとの時間を増やし、穏やかに過ごして長生きする「農的ワーク・ライフ・バランス」と私は呼んでいますが、その観点からマネジメントする小規模・家族農業が私たちの目指す家族農業です。老若男女が参加できる家族農業は、家庭環境を大切にできる農のあり方「家庭円満農業」です。
先人たちから受け継がれてきたバトンを未来を耕す世代に手渡すために、グローバル化の中で起こった新型コロナウイルスのパンデミックや地球規模の気候危機、災害多発は現在、社会のあり方や永続可能なライフスタイルへの転換を私たち一人ひとりに迫っています。家族農業の10年は「地球のための10年」であると思って、実践と活動をしています。
*岡崎
斎藤さん、ありがとうございました。「夕方6時から産業」ですか。
*斎藤さん
はい、ぜひ夕方6時にご飯を食べれる産業、実際は7時半とかなっちゃうところが多いんですけれども、永続可能なワークライフバランスのあるすばらしい産業に農業をしていきたいです。
*岡崎
ありがとうございます。続けて古賀さんから、若者から見た家族農業のイメージについてお話しをお願います。
*古賀さん
よろしくお願いします。若者からと言うことなんですが、結構、主観的な話でもいいと伺っているので、農学部の学生として最近思ったみたいなことをちょっと話をしようかなと思います。
普段、農業、特に家族農業についてお話するということがあまりないので、少しちょっと抽象度が高い話になってしまうかなと思うんですが、先ほど、杵塚さんのお話にもあった根っこを、僕も1年ほど前にちょっと考えることがあって、さすがに自分で根っ子を明文化することは出来なかったんですけれども、色々な本を読んでいて、これはちょっと自分の中の根っことして生きていけるかなと思った言葉が、「『人間性』を大切にしよう!」という話なんですけれども、これは画面共有されていても、ちょっと小さいかもしれないですけれども、五箇先生という国立環境研究所のダニの研究をされている先生のご著書の中で生物学入門という本ですね。人間と動物の大きな違いは利他的ヒロイズムがあるかどうかだという話をされていて、この本はもし、中高生のお子さんとかがいる方がいらっしゃれば、ぜひ子どもに読んでもらえるとすごく気づきが多い本なので、ぜひということなんですが、要するにどういうことなのかと言うと、人間というのは血縁関係のない他者の子どもとかに対して、何かいいことをしてあげよう、あるいは面倒を見てあげようみたいなヒロイズム、つまりそれが良いこととされている、称賛されべきものという認識があるのが人間の特徴なんだよ、という話をされていて、これを考える人間性ヒューマニティーみたいなものを獲得するというのは、先ほどお話にもあった平和とか戦争に対してどう思うのかとか、あるいは虐めに対してどう思うのかみたいなことに対して、この人間性、利他性みたいなものを獲得することが、結構、どんな問題に対しても共通して有意義なアプローチになるのかなあということで、まずこれを中心に置いてお話をしようと思います。
最近、若者として小学校とかの義務教育とかを受けていると、まず環境教育と言われる、環境重視型の教育というのがすごく普及していると感じていて、僕は2001年生まれなので、そこまでではないんですが、僕より少し下の世代になると、本当にSDGsの中身の話とか、あるいはプラスチックの環境問題についての理解というのがすごく普及していて、びっくりするくらい中高でちょっとした研究みたいなものに取り組んでいましたみたいな若者世代がいるというのが僕らの世代の特徴かなと。なので、共通した価値観としてサスティナブルとかエコフレンドとかエンバイアメントフレンドリーみたいな価値観があるっていうのが特徴なのかなと思っています。これも人間性を大切にするには非常に重要になると思っています。
またもう一つ僕らの世代の特徴かなと思うのが、何か漠然とした自然への興味関心みたいなものがあるなあと思っています。これはたぶんなんですが、僕らの世代は特にジブリの作品の影響を強く受けていて、だいたい皆共通して、ナウシカとか、あるいはもののけ姫とか、トトロとかですね、ああいったものをだいたい皆、見て育っていて、特に僕らみたいな農学部の学生はセリフを言えるくらいまで結構、頭に残っているんですが、そういった影響もあってか、何となく漠然とした興味・関心があるなと感じています。さらに重ねれば、僕が大学生になってからずっと取り組んでいる気候変動とか、生物多様性みたいな国際的な潮流っていうものは、特にべつに自然に興味がある人、無い人に限らず、ビジネスセクターの方とか、全ての人に対して、自然を通して地球を見るみたいなことの観点を与えてくれる。その力が最近、すごく強烈に働いているなという感覚もあり、まあこの中心に置いているヒューマニティーとは何かみたいなことを考える機会が増えているのかなと思うんです。
ただ一方でちょっと家族農業についてここで少し言及したいなと思うのが、1つ戻ってここまでを見たときに、俯瞰して見ると、実はここの段階では皆、座学なんですよね。要するに実際に学んだことが実際に手で感じていないとか、作品を観ているだけとか、あるいは教育で先生が言っていただけ。あるいは国際的なルールがこんなになっているから対応しなきゃみたいなもので、ここまでだと留まってしまう。ここに家族農業が入ることによって、切り拓けるポテンシャルがあるのかなと感じています。もちろん、農業に取り組むこと自体が、いままでお二人の話にもあったように、もう一度、利他性みたいなものを獲得する上で重要となるものですが、ほかにもこのそれぞれの作品とか教育とか国際的な潮流が、実際に自分に落とし込んだ場合にどういう意味を持つのか、みたいなことが分かってくるきっかけになるかなと思っています。そういう意味でも今日のディスカッションにも、どんなことがこの間で共有できるのかみたいなことを話せればと思います。
最近は特に、国際的な潮流と農業の関係がグローバルな議論でも入ってきていることが色々な本に書いてあると思うんですけれども、気候変動だったら、いわゆる自然を基盤とした解決みたいなものが、NBSと呼ばれる略語なんですが、そういったものが非常に主流になってきている。それこそローカルな知見をどうやって気候変動対策とか、あるいは自然を守る生物多様性保全に活かしていくのかみたいなことのつながりが非常に強くなっている。というところからもきっかけを見い出せたらいいなあと思っています。というちょっと若者全員がこう思っているか分からないかなり主観的な話なんですが、僕からの共有は以上とさせていただこうかなと思います。ありがとうございました。
*岡崎
古賀さん、ありがとうございました。このパワーポイントの作りがすごいですね。続けて青木先生、お願いします。
*青木さん
私の方からは家族農林漁業のいいところの一つとして、地域内経済循環が出来るのがことをお話させていただきます。
池上先生のお話にもありましたように、元々は一次産業従事者と言いますか、百姓が大半な社会だったと思います。私自身はそういった日本社会というのはあんまり知らなくて、どちらかと言うと途上国に行って、農ある暮らしが中心の社会を体験しました。百姓は、今は農民というイメージが強いんですけれども、もともとは百個の姓がある人ということで、何でも出来る人という意味があったそうです。
そういう人たちがたくさんいた社会で、それぞれの暮らしの中に農がある。家族農業が社会基盤だったときというのは、小規模有畜複合経営で、牛を飼って、ニワトリ飼って、それらの糞尿は堆肥に回したり、また出てきた藁に関してはマルチに使ったり草履に使ったりと、非常に綺麗な無駄の無い自然循環型農業だったのだろうと思います。また育児とか介護、それから教育なんかも助け合いで支えられ、ほとんどお金の要らない社会で生活できるということになります。私自身はネパールという国に行って、このような社会を実体感させていただきました。
こういうような家族農林漁業を基盤とすれば、地域の中で有機物が自然循環をするだけではなく、ヒト、モノ、お金、情報も地域の中で循環し生活が成り立つ社会になります。地域の中でみると、地産地消が基本ですし、消費と生産がほぼ同じ地域、あるいは同じ人の中でされている。その中で杵塚さんのご報告にもありましたように、手仕事とか技術、伝統、スキルといったものが受け継がれ残っていくだと思います。
こういうような形で色々なものが地域の中で循環され、後世の受け継がれていくというのが、家族農林漁業の大きな特徴の一つかと思います。ところがこのようなことが、日本では明治維新以降に市場化によって解体されていきます。何かしら経済効率性とか労働効率性を求めることがいいこととされ、機械が入ったり、化学肥料が入ったり、ビニール製マルチが入ったりとかでこういう形になってくるわけなんですけれども、そうすると結局、分業が生まれてきまして、お金が必要な農業、そして社会になってしまいます。
地域という範囲で見ると、おそらく地域内経済循環をしていたところに首都圏とか外国に資本があるような小売業などが入って来ると、消費者の多くが真新しいとか、安いとか何とかで、どうしてもそっちに行ってしまう。そうなるとさっきまで築き上げられていた地域内経済循環というのが崩壊していって、結局、首都圏とか都市部、あるいはその株主など富裕層にどんどん資本が集中していくようになっていきます。
さらにそれがグローバル化ということで、途上国の人たちを安い労働賃金で雇い、結局、お金が集まるところは、首都圏、先進国、あるいはその株主たちで、地域の中で仕事は無くなり、技術、伝統も無くなっていく。このような仕組みが築き上げられているのですが、多くの人が気づかずに生活しているということになります。
家族農林漁業というのは家計の維持、地域コミュニティの存続というのが目的ですので必然的に小規模多品種、アグロエコロジーという農法のあり方になると思います。その担い手は、家族農林漁業の経営体だけでなく、協同組合、地域ネットワーク、ママ友とか町内会といったネットワークになってくるのかなと感じているところです。
それから、学生たちと去年、田んぼ作業をやっていて、すごく面白かったのが、就職してお金が貯まったら、農地と古民家を買って、家族農林漁業のようなことをやりたいと次の目標を見つける人がでてきました。今の若い人たちと家族農林漁業って結構、親和性があるのかなというふうに思っているので、その体験機会を与えてあげることが大事なんじゃないかなと感じているところです。
*岡崎
家族農業の魅力から問題点・課題から、そして解決方法まで全部、網羅したご発言をいただきどうもありがとうございます。続けて池上先生、よろしくお願いします。
*池上さん
今日は、この討論の部分ではあまり喋らなくてもいいということだったんですが、せっかくなので今の4人のお話を聞いていて、感じたことを手短に申し上げたいと思います。
最初に思いましたのが、今の主流の農業は果たして、杵塚さんとか斎藤さんから紹介していただいたように楽しい農業、楽しみの農業なのかなというのがすごく疑問に思えるんですね。これは誰だったかな、飯沼二郎さんだったかと思うんですが、近代農業というのは悲しみの農業であると仰っていました。そこでは農業労働、働くっていうことが、まさにお金を稼ぐためのもので、そこには楽しみが無い。だから労働は苦痛でしかないですね。そういう観点から見ると、いわゆるきつい、汚いとか危険とかね、こういうことになってしまう。そもそも農業の中には楽しみや豊かさがある。今は、こういう暮らしが見えなくなってしまっているんじゃないかなと思いました。斎藤さんがおっしゃられた家庭円満農業とかですね。それから杵塚さんがおっしゃっていたような暮らしと切り離せないような農業のあり方、それからきちんと色々な人に居場所がある。私も少し申し上げましたが、障害者であっても子どもであっても年寄りであってもちゃんと居場所があるということ。それからすることがある。そういう機会を提供できているんだというふうに思います。
そういうことが例えば、食と結びつけて考えると、EATランセット委員会が言っている健康な食の議論になる。あと杵塚さんがおっしゃっていた分断の問題ですけれども、一番大きな問題は農と食の分断で、それがさらに生産と家計、生産と暮らしが分離していかないと、それは近代的ではない、生産と家計が一体化していると前近代的で遅れているものだというふうにずっと農業経済学では言われてきました。そういう分解して分かりやすくしていく、単純化していくということが進歩だというように考えてきた。そのことが、農業と食をめぐる問題の大きな原因になっているんじゃないかなと思います。そうすると、ある部分について役に立たない、あんまり貢献できない人は不要、要らないというふうになってきてしまうわけですね。そこに人間の尊厳というのは無いんだなというふうに思います。
あと、青木さんが最後におっしゃっていただいた、それから古賀さんもおっしゃたんですけれども、若者の持っている可能性。環境とか人権とかを切り口にして、結構、農業にいい感触を持っているというのは、力づけられることだったと思います。私もジブリの「腐海の世界」とか「もののけ」とかっていうのはよく学生に授業で見せていたんですけれども、結構、食い付きがいいんですよね。私も好きだったこともありますけれども、そういうところからのアプローチというのもありかなというふうに感じています。だいたいそんなところでございます。以上です。
*岡崎
ありがとうございました。時間が押している関係で、先ほどすでに青木先生からも現在、家族農業が抱えている困難や課題についての説明があったので、ディスカッションの2の部分を飛ばして、3の困難な課題をどうやって解決していくのかというアイデア交流に入っていきたいと思います。今日は、ジェンダーと若者の視点を重視するというパネルディスカッションですので、家族農業が抱える課題とか困難について、杵塚さんと古賀さんの方から発言をお願いします。
◆ジェンダーと若者の視点から
*杵塚さん
せっかくお呼びいただいたので、ジェンダーのことは、どうしていまのあり方でやっているのかというところなんですけれども。元々をたどると、ビア・カンペシーナの会議で韓国に行ったりだとか交流していく中で、韓国の日本で言う農民連に当たる農業団体というのが、男性と女性に分かれているんですよね。そこで話を聞いていくと、どうしてそういう経緯になったかと言うと、もともと一つの団体だったところが、そこから女性が離れて、女性独自の農民団体というのを作ったというのを聞きました。というのは、やっぱり家族農業と言えども、やはり組織なり家庭の中にも男女の格差であったりだとか、そういったジェンダーの問題というのがあるので、組織的にも活動していく上で、女性が女性の問題をしっかり取り組むためには、分ける必要、分断ではないですね、分かれて二つの組織として、活動することが大事だったというのを聞いて、ああなるほどなと思って、たしかに日本もそうですよね、ジェンダーギャップ指数なんかを見ると、146か国ある内の116位が日本です。それを本当に私たち自身がどういうことなのかというのは、農業をやっている方は、特に女性は痛いほど感じていると思います。
農業だけじゃないですよね、ほかのあらゆる社会の側面のところで不便があったりだとか、そういうことを感じている方は多いと思うんですけれど、その中で特に今回、家族農業ということを考える上で、自分たち自身をもう一度、見つめ直すきっかけというか、それがどういう意味なのか。ジャンダーギャップ指数を受けて、本来はそれはどういう意味なのかということを考えることが必要だと思っていて、私自身も2019年に独立するときには、一緒に夫婦でやるという選択肢もあったんですけれど、それはやめて、やっぱりそれぞれ独立して別々の農園でやろうと決めたっていうのは、やはり一緒にやっているとどうしてもパッと見で、地域で普段見ている農家の人たちは、普段の仕事なんかを見ているので、それなりに分かっていても、新たに、新しく会った方だとか、それでも地域の中でもそうですかね、やはり男性が中心になってやっていて、女性はサポート的役割的に見られることもありますし、あとはあとに続く人ですね、私の次の世代であったり、子どもたちが私自身もそうですけれども、周りにそういったロールモデル的な、女性で主体的に農業をやっている、家族の中の一員、それが悪いと言っているわけではないんですけれども、主体的にその人が独自にやっているという、そういったロールモデルがなかなか多く存在しなかったので、できれば自分自身がそういう女性でもアプローチはまた、色々なアプローチがあるということを含めて、農業を自立して独立してやることができるという、ロールモデルになる必要があると思っていて、なのである意味、人生を掛けた実験と自分では呼んでいるんですけど。
その2019年から独立して、加工も含めて生産・加工・販売というところまでを手掛けて、それでも食べていけるんだよという、一般的には単一の植物を生産しないと経営できないんじゃないかっというようなことがまことしやかに言われているんですけれども、実はそんなことはなくって、もっと小規模で畑もすごい少ない規模でも、そこから加工して販売までやっていくという中で、またそれは私なりのアプローチであったり、もしかしたら女性なりのアプローチかもしれないし、ジェンダーのアプローチかもしれないけれど、色々な人が関わっていくことで、その人なりのアプローチという、農業に対するね、取り組み方というのもあると思うので、今の画一的な農業はこうあるべきというのを、ある意味、破ることが必要だとも思っています。なので家族農業というのを考えたときに、やはりそれ家族農業だから全ていいというわけではなくて、その中に内包する問題というところにもちゃんと向き合っていく必要があるというところが一つ、感じているところです。
もう一つは、やはりこの間、これだけ家族農業でやっていても、これだけ高齢化であったり、耕作放棄だったり、離農が増えていくという中で、先ほどからずっと色々なところでお話が出ているように、どういうようにしてインクルーシブにしていくのか。女性だけではなくて、子どもであったり、障害者であったり、高齢の方たちも生き生きとやっていけるかということをまた改めて考えていく。そういった新たなあり方というか、そういったものも形としてはあり方を考えていくことが必要だと思っています。
あともう1点だけ言わせていただくと、やはり気候危機の中で、この間ずっと地域の中で行われてきた農業が、やっぱりこの時期にはこういうことをしていたという暦がある程度あって、それに沿って農業をやっていくということがどんどん難しくなっていくんですよね。という中で国の政策としては、みどりの食料システム戦略が出たり、私が住んでいる藤枝市もそれに沿って、オーガニックビレッジ宣言というのをしたんですけれども、ただなかなかその中に抱える問題というのも多くありますよね。いかにAIだったりテクノロジーを使って、その気候危機に対応するとかだったり、ネオニコチノイド系の問題だったら、そのネオニコチノイドに代わる新たな農薬を開発する必要があるみたいなことが書かれていたり。そうではないですよね。それをそうではないんだよという、こちらの方向にどう引っ張り直していくかということも今後の課題かなというように思っています。以上です。
*岡崎
続けて古賀さん、いかがでしょうか。
*古賀さん
そうですね。若者視点という意味と、グローバルに議論を追っている学生として2つ意見はあるんですけれども。一つ目は先ほどから空き家に興味があるとか、あるいは農業に今後、半農でもいいから取り組んでいきたいみたいな人たちって、結構いると思っているんですけれども、でも何かそのいる人たちが実は環境問題に興味があるから農業に取り組みたいという人は思ったより少ないのかなっていうのが僕の感覚で、どちらかと言うと、農業に興味があるから、もちろん前提として環境にも興味がありますよって言う人たちの方がどちらかと言うと多い気がしていて、その環境問題が今、ホットだから追っている人たちをどうやってその家族農業みたいなものを通して実際に手で触れてもらうのかみたいなところには結構、ハードルの高い壁があるのかなあという印象があるんです。
で、もう一つ、その気候変動とか生物多様性みたいなグローバルな視点から話してみると、それらの議題の中には、農業に関するものが含まれていて、最近だと徐々にそのつながり、農業とルールメイキングのつながりが強くなっている気がする。一方で、グローバルな議論で気候変動の解決策みたいなものが、ちょっとずつ、これはうまく行っているんじゃないかみたいな話になってきていて、気候変動の解決策があらゆる社会問題、生物多様性もそうだし、今後、農業をどういう方針にしていけばいいのかみたいなことに対して、ちょっと影響を与え始めているのかなあということを感じるんですね。
それが例えば、一番代表的なのが気候変動対策と言えば、二酸化炭素、GHGの排出量を減らすことですけど、とりあえず減らすことが正義だから、それが達成される手段からまず模索していこう。それがカーボンプライシングみたいな炭素税の議論だとかになってくると思うんですけれども、何か自然とか農業を扱う上で、そんなに単一的な単位、物差しで議論することって、かなり難易度が高いと思っていて、そこのグローバルな議論をそのまま持っていく、その勢いがあることはいいことで、じゃあ実際に農業について考える、自然について考えるときに、何を見落としちゃいけないのかみたいなことを見定めることは、すごく難しいし、グローバルな議論が今、人気があるから、そこから一気にその議論がなだれ込んできてしまう可能性みたいなものも、ちょっと危惧があるかなあと言うのが、最近、感じることです。以上です。
◆解決に向けたアイデア、実践などについて
*岡崎
家族農業が抱える困難や課題についてどうやって打開し、持続可能な社会を実現していくのかについて、池上先生の最初のスライドにあった「誰もが生き生き暮らせる農山漁村にするにはどうすればいいのか」とか「家族農業が持続的に発展していくにはどうすればいいのか」といった視点も踏まえながら、さらにアイデアを出していけたらというふうに思います。会場の皆さんもぜひご発言ください。会場からの発言がすぐにはないようですので、青木先生、先ほど、困難や課題について出されていましたので、家族農業が潜在力を発揮するためには、どういうものが必要になっていくのか、ご発言ください。
*青木さん
私自身が考えているのは、今の家族農林漁業に関わっている方々に対する政策的な補助とかも重要ではあるんですけれども、一番大きな問題というのは、地域内経済循環や生物多様性保全もできて家族農林漁業が色々な意味で効率的であるという事実を多くの人が知らないということなんじゃないかと思っています。主要メディアとかがほとんど報道してくれないですので、家族農林漁業の魅力をより多くの人たちに知ってもらうことが重要かと思います。まだまだ日本国内においては、日本の食品が安全であるとか、農業が衰退するんだったらAI使って IT化したらいいじゃん、遺伝子組み換えで効率性ができるんだったら、それでいいんじゃないかと捉えている人たちがあまりにも多すぎて、事実をどうやってそういう人たちに情報提供していくのかが、重要なのかなというふうに考えているんです。もし家族農林漁業が色々な意味で大事だし、そっちの方が環境にも地域にも生活にもいいよねというような考え方が大半の人になってくると、きっと社会もそういう流れに動いて来るんじゃないかなというふうに思います。
内輪だけで大事だよねということを言っているだけじゃなくて、あんまり関心のなかった人や、関連事項でちょっと関心のある人たちをどう巻き込んでいくかっていうことがこれから問われそうだなと思います。現場経験や現場を知る機会を提供していくことが重要かなと思います。。
*岡崎
ありがとうございます。家族農業に関する事実を知ってもらう、関心がない人や関心が少ない人たちにどうやって知ってもらうか、現場体験をしてもらうとか、どうやって広げていくのかという視点はたいへん大事だと思います。斎藤博嗣さんもそういうこと日頃から考えて活動されていますよね。
*斎藤さん
はい、家族農業やっぱり大変ですよね!?・・・。私も学生の皆さんといろいろな場面、フィールドワークとか大学でお話する中で・・・スライドをせっかく作ったので、スライドを出します。家族農業のマイナス・イメージ15Kということでまとめて、いつも短い時間で説明をするときに使います。きつい、きたない、かっこ悪い、稼げない、危険、結婚できない、これちょっと差別的ですね。過疎化、高齢化、後継者不足、血縁強すぎ、結論が出ない、個人主義はNG、家父長制、カーストというのは地主とか地域の学校で先輩後輩とか序列があるという意味ですね、最後15KはK(教育)、教育の環境はどうなの?・・・というようなことを、若い人やいろいろな方ににも言われます。
欧州の事例を見ると、欧州では現代を生き抜くために「最小農家戦略」として、小さい農家を目指す人たちもいて、ギリシャであったり、フランスであったり、より質素な生活を目指す人が増えています。日本は外圧に弱いので(?)、まず海外の事例とかを見ると、すごくドラスティックに動いている方々がいるので、そういうのを情報として知っていくというのも一つだと思います。日本でももちろん、家族農業であったり、いろいろな未来像を描いて、農業ないし、地方移住、地域おこし協力隊など、さまざまな形でもう一つの生き方をトライする人も多くいます。
また学校の農学部・・・、私の住む阿見町には茨城大学の農学部がありますが、今の学生はどうかわかりませんが、数年前の学生だと授業で土に触ったことがなくて、白衣着たまま卒業しちゃうとか、そういう学生や授業が多いと聞きます。もう少し、インクルーシブという話がさっきから出ていますが、文系とか理系を超えた、今、大学も地方創生であったり、文系・理系を超えた横断的な学部というのを増やしていこうという指向にある中で、大学であったりいろいろな場を使って、地域にとけこんだ学びのステージというのを作っていくのが私は必要だと思っています。
冒頭で池上先生にも紹介していただきましたが、4月に農文協さんから出版された【世界の食・農林漁業・環境(全3巻)】の第1巻『ほんとうのグローバリゼーションってなに?』でも私は寄稿していますが、自分の子どもたちが通う小学校のことを取材して、私の記事で書いているのですが、「カルティベイティブ・ラーニング(CultivativeLearning)CL学習(筆者の造語):自耕的・身体的で永続性のある農による学び、やっぱり自分で耕したり、身体で感じたり、今バーチャルなものが流行る中で、それに比例してこれちょっと理論があるんですけれども、長くなるのでその話はしませんが・・・。バーチャルなものに対して、同時にリアルなものを求める人間性というのがある中で、CL学習で農業をもっと身体性のある学問であったり、「自分はどこに存在して、どこに行くのか」を確かめるという実践・生き方としても、農業の持つ価値というのは、すごくラジカル(根源的)な学びを内在している。私は「農」とか「土」とか、「耕す」をもっと多様な切り口でアプローチしていきたいなと普段から考えています。
*岡崎
斎藤さん、いつもありがとうございます。池上先生はこの点いかがですか。
*池上さん
私はあんまり喋らない方がいいと思うんですけれども、色々なことを聞いていて、私が今、やっていることをご紹介したいと思います。先ほど五箇公一さんのお話が出ましたが、五箇さんは農薬の生態系への影響についても研究しておられるんですけどね、それとちょっと関連をしていて、生き物農業、生き物稲作を復活、もう一遍、元気にしたいというふうに思っています。そのために、生き物調査を二カ所ですけど、去年から始めています。土と水と稲の葉っぱを取ってきて、農民連の食品分析センターさんで分析してもらったり、それから陸生昆虫と水生昆虫を取るためには網を振り回したり、タモ網で田んぼの中をかき回したりしています。年に1回だけですけど、そこに子どもたちにも来てもらって、参加型の調査もしています。結果として両地区とも、農薬への抵抗性を獲得しているのかもしれませんけど、結構、慣行型の水田でも虫はいます。だから生き物がいるから必ずしも安全だというわけではないんですけれども、希少な生き物のいるところ、あるいは農薬に敏感な生き物がいるところというのをもう少しきちんとアピールできるようにしたい。
それから子どもたちが体験する。子どもたちが体験すると、親も分かる。この取り組みを、ちょっとずつやっているところです。斎藤さんが提唱されておられるカルティベイティードラーニングとか、5つのEとか、印象に残るので、すばらしい表現だなと思います。最近、エディブルガーデンとか、エディブルツリー、食べられるものを作る学校菜園とか、食べられる木を耕作放棄地に植えたり、都市に植えたりするというような取り組みもちょっとずつ出てきているので、そういうことも着実に進んでいるかなというように思います。
さっき古賀さんが言われた、環境系の若者から農業に入るのは結構しんどいとか、ハードルが高いということを聞いて、それよりも農業とかに関心を持っている人というのは結構、いるんだということで、ちょっと勇気づけられたんですけれども、こういう食料品価格が上がっているとか、それから肥料がなかなか入って来ないんで皆たいへんだとかいうことが報道されているピンチのときこそ、チャンスだということ、今こそ打って出るべき時期ではないかというふうに感じているところです。チャットが入ったみたいなので、これくらいにしておきます。
*岡崎
ありがとうございます。会場の方の吉田太郎さんから、AIの問題でご発言をいただけるとのメッセージが届いています。AI、ドローン、無人技術、最近だとコオロギ食とか、色々なものが最近取り上げられていますので、吉田さんにご説明いただけたらと思います。
*吉田太郎さん
すみません、自宅からなんですけれども。たまたま池上先生が今、言われていたようなですね、虫とかそちらの方については、結構、宇根豊さんがですね、こういうようなことであると思うんですけれども、最近、話題になっているのがですね、土壌微生物に関しても、いわゆるゲノムシーケンスの技術がものすごく発達したので、土壌で微生物まで風土に応じて全部、解析できると。こういうのを京都大学の例えば東樹准教授あたりが言ったりしているわけです。こういう形になるとAIがやはり土壌に関しても解決するのかなと言うような、そういう非常にある意味では私からするとちょっと危機的な情報とか色々あったんですが、たまたま今、リジェナラティブアグリカルチャーということで有名なショウファーム(SHO Farm)さんという方が神奈川県の横須賀の方でリジェナラティブアグリカルチャーというか、草だけの自然農法をやっていてですね、その中で奥さんの仲野晶子さんという方が筑波大学の土壌学を専攻されていたんですね。それでソフィックス(SOFIX:土壌肥沃度指標)とか、こういうような形で、土壌のミネラルとかを分析しているんですが、こういったAIとかを使うよりは、実は土壌断面を自分で観察した方が、かなりそれに近いような、どれだけ土が肥沃になっているいうのもかなり分かるというようなお話をこのあいだされていて、私は非常に感動したんですね。
そこの中で何人かの若い人が、土壌断面の比較のコツとか判断するアレを教えてくださいと言ったらですね、奥さんがマニュアル化できませんと。現場に来て、匂いを嗅いだりだとかですね、そういうのをやるとやっぱり分かるというようなことをお話されたんです。まさにこれが百姓知なのかなという形で、その辺りがうまくもうちょっと、これが知だという辺りがうまく発信できるとですね、先ほど、それこそ杵塚さんの方から、みどりの食料システム戦略の中でAIとか、人がいないからという話もあったんですが、実はそれよりは、お金も掛からないし、百姓知の方がかなり先端を行けるのだよという辺りがですね、うまく発信できるといいのかなと思いました。
あともう1点、今、非常に古い本を読んでいてですね、これは一楽照雄さんって言う日本の有機農業を作られた方なんですが、彼が1929年の昭和の金融危機のあと、日本の中が大変な状況になっていた中で、どういうような形で日本を再生するかというと、やはり協同組合による自力更生しかないんじゃないかというようなことで、まさに戦前にグラミン銀行がやったみたいなことをやっています。じゃあ何で一楽さんはそういう発想を持ったのかと言ったら、長野にとにかく赴任しろというようなことを言われて、3年間、長野の全部の集落を奥さんと一緒に住み込んで歩いて回って、奥さんの方は東京出身のお嬢様だったんで、夏は涼しいと言っていたんですが、冬の寒さに耐えきれず、さっさと東京に戻ってしまったという、そういうようなエピソードが書いてあってですね、改めて昔のこういう知恵を学ぶ必要があるんじゃないかなと思ったりしました。ちょっと長くなりましたが以上です。
*岡崎
ありがとうございます。続けて会場の杉浦さんにご発言お願いします。
*杉浦武雄さん
杉浦と申しますが、私は地方の農業試験場で施設ハウスの中のいわゆる農薬を使わずに環境保全型農業の技術を実は開発して試験をやりました。ほとんどうまくいっていまして、これが2003年くらいに農水省がいわゆる施設ハウスの先端技術として認めました。当時は農水省の中には非常に多く有機農業を進めようとする人たちが、私も5年間、農水省に通ってまして、70人くらいの名刺を持っていました。ところが今、その人たちで有機農業に関わっている人はほとんどいません。だけども、メールができる人が一桁、7、8人くらいは今います。ときどき情報交換をやっていますが、今、農水省の方針のいわゆる何と言いますか、スマート農業とか、何か格好いいことを言っていますが、これはどちらかと言うと、経済優先と言いますか、国のいわゆる農林大臣の優先でもってですね、下から上に上がった政策ではないと思うんです。
2019年にですね、農水省がお金を使わずに儲かる農業技術の募集がありまして、私は過去にそういうデータを持っていますから応募したら受かったんですね。受かったのは民間では私だけです。あとは農研機構とか各試験場の試験をやっている方々なんです。ところがそういうのは皆、お金が掛かります。私のはお金を掛けずに儲かると。そういうことを実は今、地方で持っている、さっきもありましたが、地方創生の柱は農業だと思っています。それで実は2月の中頃に、富山で何か面白い話を聞きたいというので、出掛けていったところ、これは面白いと。収量が増えるんでどうですかといういことを言われたときに、それじゃあ、収量が増えたら、その農産物をどうするんですかということを、やっぱり考えてくれと言われたんですよね。それで今、申し上げたいのは、それだったら地方でもって、学校給食をオーガニックにすれば、自治体が必ず購入するでしょうと。作ったものは必ず学校に普及しますから、どんどんどんどん普及して、もし多くなったら地域でもって共有してですね、いわゆる一般社会にそういうオーガニックが普及できるだろうと。これが私の考え方で、今、千葉でですね、5月の22日に締め切ったオーガニック協議会というのが今度できましてね、私もちょっと2、3日遅れて今、こういうことがありますということをご案内しているところです。
◆最後に
*岡崎
最後に、パネリストの皆さんから一言いただきます。
*杵塚さん
はい皆さん、今日はありがとうございました。私は農業に可能性しか感じていないというか、元々就農したときもそうなんですけれど、バックグランドが農業を学んでいないんですけれども、どうして農業に来たかというと、やはり心理学を学んでいて、精神医学だとか、その当時はやはり問題があれば、病気でもそうですよね、病院へ行くというのがあるんですけれども、それを例えば予防することもそうですけれど、やはり農業が自然との懸け橋になって、人と自然との懸け橋、社会と自然との懸け橋になって、なるということがとても大きな役割を持っていると思っていて、もちろん安全な作物を生産するということもありますけれども、先ほどの話の中でも出てきた子どもであったりだとか、お年寄りであったり、本当に女性を含めて色々なジェンダーの方も含めて、色々な人を巻き込んでいく中で、社会的に大きな役割を果たす仕事だとも思っているので、これからどんどん若い人だとか、かつては私も青年部だったんですけれども、もう青年部ではなくなってしまいましたが、若い人だとか、女性とか色々な人たちが入っていけるような場作りを私自身も含めてやっていきたいなと思っています。ありがとうございました。
*斎藤さん
本日は貴重な機会をありがとうございました。農家の平均年齢って68歳位ですが、あと2年で私は50歳ですが、新規就農して20年近く経って、地元の農村だと若い部類から中間に入ってきて・・・。今日スライドで紹介した子どもたちの写真も、10年くらいの前で、子どもたちも中学生と高校生になって、社会との関わり方、部活であったり、受験であったり、交通事情であったり、子どもが少ないでであったり・・・さまざまな課題(農村と都市、農業と同様の問題)を抱えています。
今日は若い人からの視点が多く出て非常に触発されましたが、私は父と母をこの半年で二人とも亡くして、介護であったり(父はパーキンソン病)、病院で最期死を迎えるのを目の当たりにして、、、私たち人間はどうやって生まれて、どうやって死んでいくのかということを改めて深く考える時間でした。また同時に、父と母が亡くなって悲しみや辛さの中で、やっぱり、そこに農業があってよかったなと新たな気づきがありました。
種を播いて、それが育って、収穫の喜びと同時にやっぱりそこにまた死もあるというか、生物の生死があるように、自分がどう生かされて、どういうふうに生きていけばいいのか?人生100年時代の到来で、私も100歳まで生きられるかわかりませんが、これから池上先生も提唱されている『農の福祉力』農村の資源と医療・福祉・保健・介護が結びつき、経済と物質が循環する「アグロ・メディコ・ポリス」の形成など、身近に生と死がある「農」はものすごくポテンシャルを持っている産業であり、生き方だと思います。
農業が持つ可能性というのは「カルティベイティブ・ラーニング(Cultivative L earning)CL学習:自耕的・身体的で永続性のある農による学びとして、もっとたくさんの人たち「人間が生まれてから死ぬまでの」老若男女が、農に関わることで「善く生きる」ことができる社会を実現したいなと改めて強く感じました。本日はありがとうございました。
*古賀さん
本日は貴重な時間をいただき、ありがとうございました。そうですね、今回、農業を通して学べることみたいなことについて、たくさんの共有をいただいて、なるほどなあとか、自分が思っていたことを言語化してくださったりするのを通して、学びが多くありました。
先ほど斎藤さんのお話で、土を触らない農学部の学生がいるという話があったと思うんですけれども、あれはすごく僕も感じていて、白衣だけ着て終わる農学部の学生もいるんですよね。農学部でさえそうなので、なかなか機会を作って実際に半分でもいいけど、生業にしてみるみたいなことのハードルが依然として存在している中で、そこをやっぱり乗り越えるためには、今日、お話のあった色々な取り組みとどうコネクション、つなげていって、分かりやすく伝える、その魅力をみたいなことが大事になると思います。その具体例として先ほどの話。作品とか芸術みたいなものがあったり、あるいは国際的な潮流に乗っかってみたり、それは危険性があるみたいなお話をさっき入れましたが。
また教育はやっぱり、もうちょっと現場重視の教育をしてほしいと、今まで僕は義務教育を受けてきた過程で思ったりもしていて、そういうことを連携してできる、先ほど場を作るみたいな話もありましたが、その場を増やしていくことっていうのが、やっぱり必須になってくるのかなあと思いました。今後も僕がどういう研究をするのか、まだ分かんないんですけど、実際に現場で手で触れて感じることみたいなことの大切さは見落とさないように今後も勉強していければなあと思っています。今日は本当にありがとうございました。
*青木さん
今日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございました。現場の方々の言葉の重みをすごく感じた1日になりました。私は大学という教育機関に関わらせてもらっていますので、学生たちに現場の人たちとちゃんとお話しする機会や、自然をちゃんと体感して、農業を感じてもらう機会を提供しつつ、頑張っていきたいかなというふうに思います。家族農林漁業、それから協同組合、これから本当に大事になってくると思いますので、研究も引き続き、精進していこうというふうに今日、後押しされたかなというふうに思いました。ありがとうございました。
*池上さん
はい、今日は大変、活発かつ面白い、新しい視点の議論をいただいて、私としては大変、面白かったです。最終的には、途中でも申し上げましたが、今の悲しみの農業を楽しい農業に変えるということを前提に置いて考えていきたい。農業の魅力、色々とあるわけですけれども、かえって農家自身よりも、企業の方がそういうところに目が早いというか、目が利くんですね。医療の問題にしても、今、大手のツアー会社がすでにそういうヒーリング効果のためのツアー旅行を企画するというようなことに走っていってます。医福農連携の研究会というのを昔、作って、そこにも企業を呼んできていたんですけれども、そういう部分でお金が儲かりそうになるとすぐ、取り入れてしまいます。リジェネラティブ農業でもそうですね。パタゴニアだけじゃなくて、サントリーとか色々なところが今、取り組んでいるようです。そういう魅力があるんだということを十分に自覚しながら、そちらに持っていかれないようにすることをやっぱり考えていかなきゃいけないなと思っています。
さっき青木先生の話の中に、大学は最後の砦だという指摘がありました。私も大学に勤めていたときに里山修復プロジェクトに取り組んで、うちの研究室は草刈り研究室だと言われるくらい、1か月に2回は復活した棚田の草刈りをやっていたんですけど、卒業するときには面白かったと言ってくれる学生たちも、就職しちゃうとその経験がどっかに行っちゃんですね。だから、こういう経験どんなふうに続けられるかが勝負かなと思っています。
最後に斎藤さんも紹介してくださいましたが、農文協さんから3巻の「ほんとうの〇〇シリーズ」を出しています。メインの対象は高校生を中心にしていますが、それでも大学生さんもそうですし、一般の方も読んでいただいても十分、読みごたえがある、学べる内容になっていると思います。思い込みを排して、自分で考えてみるということですね、そういうクリティカルシンキングをするためのきっかけにしたいというふうに思っております。田舎の本屋さんで検索してもらえると出てきますので、お手に取っていただければありがたいと思います。
今日はこういう形で時間も十分だったとは言いませんが、かなり色々な視点を議論することができたかな、新しいヒントをいただけたかなっていうふうに思っております。この家族農林漁業の10年の国内行動計画に反映して、成長させていくように努力していきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。