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映画について、岡田照男監督は「わたしたちは今、地球の上で起こっているさまざまな問題の根深さにたじろいでいます。未だに収束が見通せないフクシマ原発事故の災禍やコロナウイルス禍にあって、これまでの近代文明(資源や富の不公正な分配をあたり前とする価値観や文明観)を問い直さなければならないことに気付いたからです。それは、わたしたちにとって最も大切なのは『生き方』であって、お金を稼ぐことではないこと、単なる成長が目標にならないことを知る機会にもなりました。今、こうした状況を静かな意思で押し返すチカラが模索されています。それは市場の論理に翻弄されるものではなく、旧来の制度にとらわれるものでもなく、自分たちの生き方や働き方を『わたし』が決めるという暮らしです。あるものをあるがまま、自然の循環をゆがめず、これを借りて人が生きるために必要とするものを得る暮らしでもあります。映画はいわば、この小規模な有機農業『家族農』と共にある暮らしを10年間に亘って、神奈川県小田原・秦野・二宮、奈良県五條の農家に求め、映したものです」と述べています。