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【報告】牛にも人にも優しい酪農を目指して—マイペース酪農を実践する 小野寺竜之介さん

· イベント

FFPJ第36回オンライン講座「牛にも人にも優しい酪農を目指して—マイペース酪農を実践する—」が2025年1月24日に開催されました。講師は小野寺竜之介さん(釧路地区農協青年部協議会 会長)です。

以下は、小野寺さんによる講義部分の概要になります。

皆さん、よろしくお願いします。小野寺です。

私は今、北海道の、皆さんあんまり好きじゃないかもしれないんですけれども、農協青年部の協議会の幹事をやっていまして、釧路地区の会長をやっています。来月も農水省と議員会館に行って、現状を訴えるという活動があるんですけど、今回はマイペース酪農の若手経営者ということで、気楽にしゃべりたいなと思っています。

◆経歴

まず私、高校は帯広の農業高校の酪農科学科というところに入学しまして、もともと酪農家をやるというよりは、馬が好きで競走馬業界に入りたいなと思っていました。で、帯広農業高校に行って馬術部に入って、帯広って言うのは、十勝全体がそうなんですが、その当時は規模拡大路線が根釧でも十勝でもオホーツクでも多くて、そのなかで自分のウチが酪農家として経営していることにちょっと興味を持ち始めていました。

そのあとに放牧について、草地についてちょっと調べたいなと思って酪農学園に入学しました。で、帯広農業高校と酪農学園大学で7年間、酪農について学び、馬術も続けて、2011年に酪農学園大学を卒業して、おのでらふぁーむへ就農という形。それで10年間勤めて、2021年より経営継承を親と話し合って、今年で4年目となります。

今回はどちらかと言うと、酪農家の現状というよりかは、このマイペース酪農、放牧主体の酪農がどんなものなのか、ということを簡単に紹介していければなと思います。

◆一日のスケジュール

まず酪農家はどんなことをしているのかということで、1日のスケジュールなんですが、まず朝、6時からスタート。皆さんがイメージしている酪農家よりはだいぶ遅いと思うんですけれども、6時から餌やりを始めます。今は餌やりからスタートですが、夏は夜間、放牧しているので、放牧地から牛舎へ入れる作業になります。

餌やりをやったあとにすぐに搾乳すると、牛さんもデリケートなんで、少しごはんを食べ終わってゆっくりしたくらいの7時から搾乳がスタートとなります。そして1時間ぐらい搾って、搾り終わったら冬場、今日はちょっと雪が降っていたんですけれども、外に出して、夏も冬も一応、外には運動がてら出すようにしている感じです。で、だいたい8時ぐらいから8時半ぐらいまで牛さんを出して、冬はパドックという運動場に連れて行って、夏は放牧地に放してだいたい8時半から9時半で作業は終わりとなっています。

そして夜ですが、冬は日が沈むのが早いので、4時ぐらいからパドックから牛舎に。で、夏場は日が延びているので 5時から餌と一緒に牛舎に入れて、そして搾乳に移るという感じで、6時から搾乳を開始して、7時ぐらいに搾乳が終わったら、夏はそのまま夜、放牧に出して、今時期、冬は夏場に作ったラップサイレージを給与しています。なので、今日の時間帯も7時からだったんですが、ちょっと早めに終わったという感じです。

◆日中のお仕事

さっき1日の流れ、朝と晩、それだけしか仕事してないのかなって思われるかもしれませんが、日中の仕事は、生き物なので、まず酪農家に大切なことは、草地とかもそうなんですが、やはり繁殖管理。子どもが産まれなければ牛も乳を出せないので、繁殖管理に人工授精師さんや獣医さんを呼んで、牛に授精をします。そして、ウチは放牧酪農なので、滅多にそんなに頼まないんですが、やはり牛乳を出すということは牛にすごい負担がかかるので、日中に獣医師を呼んで治療をお願いしたり、どうしたらいいかなということを聞いたりします。だいたいこの繁殖管理も治療も午前中に来てもらって対応していただくという感じです。

そして欠かせないのが、通年で放牧できればいいのですが、冬場はやっぱり餌が必要になってきます。牛さんが主食になる草地を管理する作業がだいたい4月頃から始まって、11月、土壌が凍結してくる頃までは、草地管理を日中にやったりします。そして草地管理プラスで牧草収穫があり、牧草収穫はだいたいこの辺も最近では、デントコーンの作付けが増えてきたり、あと年3回刈るんですが、ウチは2回、牧草を刈っています。

そして施設管理。施設管理は、放牧をする上で牧柵とか、あとは結構、もう昭和の施設なので、どこかが壊れたとかがあるので、それを修理するための時間を日中、費やしたりします。これが年間を通しての日中のお仕事となります。

◆繁殖管理

ちょっと写真があんまり苦手な人もいるかもしれませんが、牛飼いの大切な仕事のなかの繁殖管理。繁殖管理は、牛はだいたい14か月を過ぎると、子どもを産むための体ができてきて、1回目の人工授精をします。で、発情がきたなって思ったときに人工授精して、最近だったら受精卵の移植とかもありますが、それからとまれば9か月と6日。9か月と6日で1回目の出産なので、2歳前後ぐらいに1回目の、初産で産む形になります。

そして産んだあと、2か月後にまた、赤ちゃんを産む準備が、子宮がある程度回復して、繁殖できるようになるので、そこからまた種つけをして、9か月と6日後の2か月前ぐらいから搾乳を休ませ、2か月頃から体を休ませて、出産に備えるという形です。

これ、北海道と都府県で違うんですが、北海道はわりかし2産目、3産目とか、長命連産の牛を目指して作っているのですが、都府県に至っては、1回出産で廃用にしてしまったり、夏場の暑いときはとまりが悪いので、やっぱり冷涼な地域でホルスタインは飼わないと繁殖は上手くいかないのかなと思う。あと牛の、排卵するタイミングがだいたい21日周期なので、21日周期に排卵した頃を狙って人工授精。ただ牛も生き物なので、個体差もあって、なかなか発情がしづらい牛とか、あと高齢になってきて、なかなか着床しないなというときは、獣医師に頼んで、PGコンセラールシラーというホルモン剤、人間で言えば、低用量のピルみたいな感じで、周期をちゃんと作ってあげないと、牛さんもちゃんと繁殖ができないっていう感じです。

◆草地管理

そして、草地の管理。だいたい、僕の牧場はたぶん北海道でも後ろから数えた方がいいぐらい小さい牧場です。畑の方々とか、ほかの都府県の方からすると、この3台、トラクターが並んでいると思うんですけども、こんなに要るのかなと思うかもしれませんが、敷地面積が広いので、また自分のウチは全部、自分のウチで収穫する形なので、やはりこれぐらいトラクターが必要になってしまうかなと。去年、右側の大きいトラクターを買ったんですが、1千万ぐらいします。もう今年に入ってからは、1千3百万になったり、物価の高騰はこういう、施設関係、機械関係ではすごい顕著に出るのかなと思っています。

草地管理なのですが、1年間のサイクルとしては、まず放牧地に至っては堆肥、糞をした場所の糞を散らす。また秋口に播いた堆肥を散らすために、このパスチャーハローっていう、チェーン付いたもので散らす。で、草地も古い草が堆積して、ルートマットっていう、草の層が堆積してくるので、それを物理的に傷つけてあげるという意味で、この最初にパスチャーハローっていうものを掛けます。

そしてウチでは牧草地も採草地も直接おこすことは、なるべく避けたいなと思って、結構、ヨーロッパの方では一般的なんですけども、簡易更新機っていう、溝を細く作ったところに、牧草の種を落として、土壌の維持をしています。で、これが牧草の種なのですが、この種は実際にヨーロッパの種子の農家さんのところとか行ったんですけど、本当に小さい、小規模なところで種を作って日本に輸入してきて、それを買って、年間でだいたい10ha以上なんで、東京ドーム2個分ぐらいですかね、そこにこの種たちを播きます。そしてその種を播いたあとに、ある程度、発芽したところで、また簡易更新をしていない場所以外でも、肥料を播きます。

牧草って、放牧地はあまり肥料は使わないんですけども、牧草ってただ生えてくる草ではなく、ちゃんと栄養を与えてあげないと、ぜんぜん収量が変わってくるので、ウチでは反あたり25なので、40haでだいたい、500本のこのフレコンバックを25本、これでもたぶん他のウチから比べれば、3分の1ぐらいですかね。一応、パラパラと肥料は播くことにしています。

そして肥料を播いたら、いよいよ牧草の収穫に入ります。牧草の収穫で最初に行なうのが、まず草を刈ります。で、この後ろに付いている円盤状の草を刈る機械なんですが、だいたい幅が3m60。3m60で刈っていきます。だいたい3年前くらいにディスクモアっていうんですが、草刈る機械を買ったときに、200万くらいだったのが、今はもう、350万ぐらいまで値上がりしているっていう状態です。

草を刈ったら、次に水分の調整をします。ウチはもう、カラカラに乾かしたいので、だいたい1回ですね。この写真のやつは、乾草を撮りたかったので、すごい茶色っぽいですが、だいたい6月の後半から、ラップっていって、メインの牛たちに食べさせる栄養価が一番高いものを作って。7月の下旬から8月の上旬いかないぐらいに、この乾草っていうのを作って、乾草は育成牛を作る上で、ルーメン、第1胃を作るのにすごい大切な飼料なので、ちゃんと乾草を食べさせないと、放牧地で生草を食べても、胃の中で消化しないので、この乾草っていうのには、ウチはこだわっているっていう感じです。

そしたら、これを刈り終わったあとに、9月の中旬から2番草、1番刈って生えてきたものを、また収穫するという形です。全体を通して、1番草が40ha、で2番草が35haなのですが、たぶん収穫は全体で30日いかないかなぐらい。だいたい10丁ぐらい刈って、乾かして、次に、レーキというので1本の筋にまとめます。この前の機械でだいたい8m。8m一気に反転させて、そして乾いたところで、5m50ぐらいのもので1本に集めて、そしてこのロール、よくあると思うんですけども、草の丸めたものにします。この草を丸めるのに、あんまりお金の話は言いたくないんですけど、だいたい草を反転させる機械も3、4年前は300万そこらだったのが、今になったら500万になっていたり、レーキ、集める機械もそれぐらいになっていたり、この草丸める機械に至っては350万から今年だったら1,200万ぐらいまでの物価高騰になっている状態です。ただ個人的なものなので、これ以上いくと、さすがにもう維持管理できるのかな、というのがちょっと心配なところではあります。

で、作ったロールをラップする機械で外に保存するっていう感じです。この乾草っていうのは、D型ハウスっていう宿舎の中で保管するんですが、このラップに至っては外で。だいたい一番のラップサイレージが、ウチで350個以上。そして、この乾草っていうのが、だいたい150から200ほどつく。2番草がだいたい200個。で、700オーバーぐらい、年間は作っています。このラップ主体っていう農家自体が今、少ないので、全部、コントラっていって、草を収穫する業者があるんですけど、それに任せるという状態が主体になってきているかなと思います。

そしてちょっと画像が粗くて申しわけないんですが、その牧草の収穫を終わった後に、この上の牛の尿を播く機械と下の糞を、堆肥を播く機械になります。ウチはその肥料をあげない分、堆肥と尿は少ないんですけど、堆肥の重要性というのがあって、冬に出た畜舎の堆肥を切り返して、熟成させて、そして秋口に播いていくという形になります。

◆施設管理

そして施設管理ですね。何でも頼めば、業者が修理とかはやってくれるんですけど、なるべく小規模酪農で、経費をかけたくないと思ったら、何でもやらなきゃいけないので、毎日に使うもの、この写真が牛の糞を外に出すバンクリーナーというものなんですけども、ウチでだいたい親牛舎、100mほどあるんですけども、だいたい全部、交換するのに、今だったら200万ぐらいかかるやつを50万ぐらいで中古で買ってきて、全部自分で直したり、あと、放牧酪農でウチはヒグマに襲われた家だったので、有刺鉄線を周りに張っていたんですけど、それじゃダメだということで、2mのフェンスを1.7キロに渡って施工したりとか。よく僕が父親に言われていたのが、百姓は百の仕事をしろっていう、昔の人の名言みたいなので、なるべくなら自分でできることは全部自分でやるっていう感じで、それを日中に。忙しいときに限って修理とかが入るっていうのが、これ酪農家をやっていて、よくあることかなと思っています。

◆経営継承について

そして、経営継承に至った流れなのですが、4年前の当時、僕もちょっとこれからどうしようかなと悩んで、なるべくなら自分の牧場を継ぎたいなとは思っていたんですけれども、ちょっと家庭的に老人の介護とか、あと自分の家がなかったので、ちょっと家族間の仲も悪く、家を出ようかなと思っていた時期があって。そこで最後、言ったときに、父親が、ちゃんと買い取るという形にしたら、僕は僕で自覚はちゃんと持てるし、親も親で売ったということで、まあじゃあ自分の牧場じゃなくて、僕がやる牧場だという感じで、ちゃんと覚書とか条件を出しましょうという話になって。そして父親が農業委員をやっていたのもあって、資産の評価額、今だったらもうちょっと安いかなと思うんですけど、その当時ちょっと乳牛が高かったので、だいたい2019年末の時点で、6,735万っていうことで、10年間、親に専従者給与と、プラス家の水道光熱費とかを払って、あと残存の借金、微々たるものですけど400万、500万ぐらいあったので、それを入れて親から買い取るという形にしたという形です。

あんまりこういうスタイルの家族間の継承ってなくて、今、新規就農の人とかだったら、僕のウチの規模ぐらいでも、軽く1億ぐらいは行っちゃう時代なんですよね。そのなかで、僕の施設も結構、老朽化していて、追加投資はやっぱりしなきゃいけなかったんですけど、なんで1億と、6千万、7千万ぐらいだったら、じゃあ7千万いいじゃんと思うかもしれないんですけど、やはり後継者として入った以上、資金の関係とかで対応してないものが多かったので、そこに関してはすごい苦労したところではあったかなと思います。

実際に昨日まで営農計画といって1年間の計画を立てる。農協と話し合いを進めるなかで、一昨年、去年はトラクターの1千万追加で必要になって払わなきゃいけなかったし、あと搾乳施設ですね、だいたい1回貯蔵する牛乳のタンクは、ウチの小さい規模でも500万、600万ぐらいはするんですよね。でも新規就農の人だったらリースで買えるんですけど、僕の場合は、やっぱり資金、何かないかなと探して、返すことになるので、やはりそこら辺の負担が、毎日の搾乳する機械も、今は昔と同じようなものを買うってなったら、1千万越えはするので、結局、何だかんだ言って、リースで買えない以上、後継者なりの資金対応の難しさっていうのは、4年目にしてちょっと感じているところかな、とは思います。

◆経営について

そして、経営についてなんですが、だいたいあまり数字は出したくなかったので、口頭で言うことにしました。規模がさっきの評価額にも書いていたんですけれども、草地が76ha、そして乳牛がだいたい子牛も含めると60前後で、搾乳牛が常時、35頭前後の酪農家。だいぶ小さいとは思うんですけれども、だいたい去年の実績が213トン、牛乳213トンというと、相当小さい牧場です。その213トンの牛乳の収入っていくらになるのかなって思うと思うんですけれども、だいたい今、北海道はキロ116円なので、生乳自体が2,300万ぐらい。で、補給金、補給金がだいたい8・何円なんで、190万ぐらい。計で2,400万ぐらいですか、牛乳だけの僕の収入です。

プラスして、牛、だいたい雌だけを残したいなと思うんですけど、なかなかとまらないなという牛に和牛をつけてF1、乳牛じゃなくて、肉用牛を産ませて、それで搾乳できるという形にするんですが、その牛たちの販売のことを個体販売って言うんですけど、だいたいそれが去年で400万ぐらい。計の収入がだいたい3,000万近くになります。これは213トン規模の牧場は皆そんな感じです。それが大規模になればなるほど、億になったりとかしています。

一方で支出はどれくらいなのかな、と思うんですが、僕らの強みって、大規模でも小規模でも乳代というのは価格保障されていて、ヨーロッパとかでは、収入保障があるかもしれないですけど、日本って価格保障なので、その中身、支出をいかに減らすかが小規模農家の大切なところになってくると思うんですよね。そして、その支出がだいたい2,000万ほどなので、だいたい収入は1,000万ぐらいにはなるのかなと。家族、父親と2人で搾乳して、サポートに母親に入ってもらって、それぐらいでそれぐらいの。でもだいぶ厳しい情勢にはなってきたんですけど、そんな小規模農家でもそれぐらいはいくのかなと思っています。

で今、餌の高騰、餌の高騰って言うと思うんですけど、だいたい、1リッターあたりの乳飼比という割合があって、乳飼比の出し方が餌代÷乳代なんですよね。ウチが生乳と補給金でだいたい2,400万で、餌代がだいたい、めちゃ少ないんですけど400万。で、ぜんぜん20%切っているし、10何パーセントぐらいなんですよ。そしたら、今、1キロの牛乳の価格が116円で、17パーセントぐらいだと、96円が1キロの値段で収入になるという形なんですよね。これは放牧酪農とかの人なんて20%を切っている人が多いので、だいたい116円を周りにもらっていますよって言ったら、96円、1キロ、こっちは収入に入りますよ。

一方で大規模農家の、餌とかも全部作る会社とか、委託しているところって、60%は飼料費で持っていかれる現状なんですよね。60%でもいい方でもっと悪い人も、もちろん中にはいるんですけど、116円の60%って、50円を切っているんですよね。だいたい半分ぐらい価格が違うなかで、やっぱり経費っていうのは、それだけ抑えれば抑えるだけ、環境にも人にも牛にも、負荷のかかりづらい経営にはなるかなと思います。先ほど言った、必要な投資にちゃんと備えるために、ある程度、貯蓄して、そしてある程度、投資を加えつつ、そうですね、放牧酪農は、おおまかな投資はあまりせず、細々とやるのがいいんじゃないかなと、思っています。

◆今後について

今後についてなんですけど、酪農家って、やっぱり牛を飼っていて、乳牛に肉用牛、受精卵で和牛とかつけるんですけど、そういうスタイルって、結局じゃあ肉牛農家が結構、疲弊してきて、肉牛農家は肉牛農家で、補助金がすごいんで、何とか成り立っていて、あと税金の関係も免除されることがあるので、何とかやっているんですけど。僕は新しい形があってもいいのかなと思って、今年から、釧路地区、あまりいないですし、酪農家のあいだではほとんどないんですけど、週末、土日だけ、野菜販売をできないかなと。僕の住む厚岸町は道の駅が北海道でずっとナンバーワンの場所なのに、そこに直売所がないのが、寂しいねっていう意見が出ていたので、今年から野菜に挑戦してみたり。で、前述したんですけど、ずっと高校のときから大学時代、馬術をやっていたので、釧路は肉馬の生産地で、馬の生産地でもあるので、それを生かして、乗用馬の生産とか、サラブレッドの再調教ですか、その取り組みもしてみたいなと。

ただこれが全部できるのって、小規模で、ある程度、時間にゆとりがあるところじゃないと、挑戦はできないのかなと思うんですよね。なんで、僕はこれからも小規模の酪農家を進めつつ、自己完結する酪農がやりたかったのが一番、大きくて、もちろん牛乳は加工するとかっていうつもりもないですし、放牧酪農だからって、特別な牛乳として、本州の方に加工用乳で行くわけではなくて、全員が同じ土台で、経営者としてコストを下げて、それで経営を成り立たせる。

なので、子牛が産まれて、哺育専門の人に預けないですし、育成も預けないですし、自分たちで作っている餌も自分たちで作る。で、経営に関しても税理士に任せるのではなくて、確定申告、消費税も自分で全部計算して、一人で会社経営ができるって、なかなかないと思うんですよね。だから、そこが小規模でやる魅力でもあるし、ほんとうに頑張ってやっている若い人たちもたくさん、大きくやってっていう人たちも多くいるので、放牧酪農を推進するだけじゃなくて、地域全体で支え合っていかないと。今は小規模がいいとか、大規模がいいとか、中堅の方がいいとか、でなくて、酪農家全体で色んな道を模索しつつ、僕もそれに今年は、5年に1度の道庁とか農水省の酪肉近で、今後の5年、10年、20年先がどうなっていくかっていうのを考える、すごい大切な期間だったので、米のように系統外とか争うわけじゃなくて、酪農家全体で、こういう酪農家も居てもいいんだなっていうのを、認め合う時代にはなってきていると思っているんですよ。

家族酪農、小規模酪農、放牧酪農がいいなっていう時代にはなっていると思うんですけども、それに伴って、情勢もだいぶ厳しくなってきているので、酪農家全体としては、一丸となって、今後、取り組み、農水省にも議員の人にも要請していかないといけないと思いますし、じゃなければ、もう今後10年で、酪農家が今で1万戸を切ったって言ったら、10年先、酪農家いないじゃないか。また北海道や都府県で対策協議会っていうのが立っているんですけど、都府県は畜酪って言うんですよ、で、北海道は酪畜って言うんですよ。だいたい対策協議会というのは、米の対策協議会とか、畑青、畑と青物の、畑青の対策協議会。で、本州では畜酪、北海道では酪畜なんで、酪農を主体とした若手たちで、今後の厳しい情勢と今後の酪農を守るということで、活動にも参加しながら、自分なりのスタイルをやっていければな、と考えています。

僕、そんな人前で話したりするのとか苦手なので、これでだいたい40分過ぎぐらいなので、ここら辺で終わらせていただきます。ありがとうございました。